アメリカとデンマークにオフィスを構えるブロックチェーン分析企業のチェーンアリシス(Chainalysis)社が1月28日、レポートを発表し、2大ハッキンググループが過去数年で10億ドル(約1,100億円)近くの仮想通貨を盗んでいたことを明らかにした。
仮想通貨ハッキング事件の60%が2大グループによるもの
チェーンアリシス社は取引所などの仮想通貨関連企業をターゲットにしたハッキングを調査。同社が発表したレポートによると、仮想通貨関連のハッキングは、主に2つのグループによる犯行が多くを占めており、総額は報告されているハッキングの60%に当たる10億ドル(約1,100億円)に上るという。
同社が追跡した2つハッキンググループは1回のハッキングで平均9,000万ドル(約98億円)相当の仮想通貨を盗んでいたという。またハッカーらはハッキングの騒ぎが収まるのを待つため40日以上は資金を動かさない傾向にある。
そして安全だと感じた時点でハッカーらは行動を開始し、少なくとも盗まれた資金の50%は112日以内に換金サービスなどを通じて現金化している。
仮想通貨の取引所間での協力が不可欠
同レポートではこの2つのハッキンググループを「アルファ」と「ベータ」に分類し、それぞれ異なるアプローチがあると分析している。例えば、アルファは統制の取れた比較的大きなグループで、非金銭的な目的の元動いている部分があるのではないかと推察されている。一方でベータは、あまり組織化されていない小さなグループで金銭を目的として活動しているとチェーンアリシスは分析している。
ハッキングの問題について同レポートでは、仮想通貨の取引所や法的機関はハッキングによって盗まれた資金を追跡する能力に限界があったことに言及。さらに取引所は、盗まれた資金を規則的に処理するため、ハッカーらが資金を法定通貨やその他の仮想通貨に交換するのを許してしまっていることを指摘していた。
またハッカーの資金の動かし方に関する実践的な知識は、取引所など関係者らが犯罪と関連している疑いのある不審なトランザクションを特定するに役立つとしている。そして、仮想通貨の取引所間での協力は、この業界における犯罪に対抗するために大きな役割を果たすだろうと提言していた。
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参考
・Chainalysis
文:Akihiko Hirata(@akkyhira)