イランが仮想通貨を公認しICOや取引所も容認へ、中銀発行のCBDCも近い?

米国経済制裁に対抗するためイランの民間銀行4行が、ついに金(ゴールド)と連動する仮想通貨を発行しました。ペルシア語で約束を意味するPeymanという名の仮想通貨は、4行とブロックチェーン技術会社Ghoghnoos Companyとの間の合意で誕生しました。

一方、イラン政府肝いりの中央銀行発行仮想通貨(CBDC)の認可は近いという報道も相次いでいます。

イラン民間銀行4行による初の仮想通貨Peymanを発行

Peyman発行のニュースは、イランの英字紙Financial Tribuneが伝えたもので、民間銀行はParsian Bank、Bank Pasargad、Bank Melli Iran、Bank Mellatの4行で、OTC取引会社のIran Fara Bourseも仮想通貨Peymanの取引を受け入れる見込みです。

Ghoghnoos社のディレクターであるヴァリオラ・ファテミ(Valiollah Fatemi)氏によると、Peymanはトークン化された銀行資産および過剰資産として用いられます。同氏は「トークンはウォレットのようなもので、この過剰資産を経済サイクルの中に向けることができる。われわれは銀行取引のペースを加速するために、この技術を広げたい」と語りました。

Ghoghnoos社によれば、Peymanは当初計画で10億ユニット発行し、将来的にIran Fara Bourseから購入することができるようにするとしています。米国の経済制裁は、一部欧州連合(EU)諸国を含めてイランの経済、特に貿易を困難にしています。民間銀行主導の仮想通貨発行は、イラン友好国との貿易をスムースに行うための最初の対抗措置であると言えます。

イラン中銀総裁が独自仮想通貨の発行計画明るみに

特に国際銀行間通信協会(SWIFT)を介した国際決済システムの利用を禁じた2018年11月の第2次制裁以後、イランの通貨リアルとの交換を可能にする中銀発行仮想通貨が、経済制裁の回避策として浮上していました。

イラン中央銀行のアブドルナーセル・ヘンマティー(Abdolnaser Hemmati)総裁は2018年11月、SWIFTに代わる選択肢がすでに開発中であると述べ、1週間後にはロシアとアルメニアとの間で、中銀発行仮想通貨に関連するブロックチェーン技術で協力する協定を結んでいます。

中銀発行仮想通貨の第1段階の展開は、商業銀行などの金融機関に限定して利用させることになります。一般個人の利用は第2段階を想定しています。イラン政府は、輸出入の決済に仮想通貨を利用することは想定していません。しかし、このような動きは、将来的にブロックチェーン技術の基づく国際決済システムに参入することを視野に入れていることは間違いありません。

厳格な規制枠組み内で仮想通貨を公認、ICOやマイニングも許可

衛星テレビ局のアルジャジーラによると、イラン中銀は19年1月28日公式ウェブサイト上で、新たな仮想通貨に関する規制草案を発表しました。その内容は、仮想通貨規制フレームワーク「バージョン0.0」でこれまで仮想通貨を一切禁じてきたことを覆し、イスラム共和国内(イスラム教義に沿った)でのデジタル通貨利用に関する規制の枠内で利用を許可するというというものです。

規制枠は例えば、ビットコインは決済手段として使用できないこと、個人が所有できる仮想通貨は1万ユーロ(約125万円)までと総量規制しました。

ビットコインを含む仮想通貨が公認されたほか、ICOが許可され、仮想通貨取引所やビットコインウォレットがマイニング(採掘)とともに容認されたことは大きな変革となります。

独自仮想通貨が規制草案を土台に発行されれば、米国が課した対イラン全面禁止措置が有効ではなくなります。サウジアラビアと並ぶ中東の大国、イランの今後の政策に目を離すことはできません。

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参考
CCN
ALJAZEERA

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