コインベース(Coinbase)がニュートリノ(Neutrino)を買収、ブロックチェーン分析企業の可能性

Coinbaseがイタリアを拠点とするブロックチェーン分析企業のNeutrinoを買収

コインベース(Coinbase)がイタリアを拠点とするブロックチェーン分析企業のニュートリノ(Neutrino)を買収しました。

参考:Coindesk

コインベース(Coinbase)がよく行う買収(アクハイア以外の買収)は、買収先のチームをそれ以前のオフィスとブランドで運営させる形式ですが、今回のニュートリノ(Neutrino)はロンドンオフィスに統合をするとのこと。Neutrinoは、ブロックチェーンを分析して、不正なアクティビティやマネーロンダリングのアクティビティの疑いがあるブロックチェーンアドレスをマーキングします。

技術的には、犯罪に利用されている可能性が高いブロックチェーンのアドレスが判れば、そこから送信されたウォレットアドレスもまた、犯罪に加担している可能性が高いと仮定し、追跡・捜査ができます。それがKYC(Know Your Customer/顧客確認)と紐づいたどこかの取引所のアカウントとやり取りがされたら、本人特定の可能性が高まります。

日本国内では、2018年初頭にNEM(ネム)のハッキングが起きて、そのアドレスを追跡をするホワイトハッカーのような人が複数現れたことについては記憶に新しいですが、ニュートリノについては、あのような業務をプロフェッショナルに行う企業であると理解すれば良いでしょう。

コインベースは今回の買収により、犯罪可能性が高いアドレスからコインベースの口座に入金をすることを自動で検知するようなシステムを構築することが予想されます。大手取引所は、自前でこれを行うか外部サービスを用いるか選択肢はありますが、いずれにしてもブロックチェーン分析はコンプライアンス業務に不可欠な要素です。

ブロックチェーン分析の最大手Chainalysis

この分野で最大手のChainalysis(チェーンアリシス)も、先日シリーズBで3,000万ドル(約33億円)を資金調達し、ロンドンに新オフィスを設置すると発表しています。

参考:Coindesk

Chainalysisは2014年に創業された企業であり、この分野に一貫して取り組んでいます。

Chainalysis公式出典:Chainalysis

Chainalysisもブロックチェーン分析サービスを取引所のコンプライアンスとして提供しており、Binance(バイナンス)をはじめとして多くの顧客が存在します。仮想通貨メディアCoindesk(コインデスク)への取材で、売上金額は明かせないものの、2018年の売上は前年比で3倍に伸びていると回答しています。

Chainalysisは、現在100名を超える従業員が働いていており、ニューヨーク・ワシントン・コペンハーゲンにオフィスを構えています。今回の調達では、今後、ステーブルコイン(Stablecoin)の発行事業者向けに「Know-your-stablecoin」という主旨のプロダクトを提供する予定だそうです。つまり、ステーブルコインの発行事業者が、自身のステーブルコインが怪しいマネーロンダリングなどに使用されていないかを追跡できるサービスです。

また、Chainalysisは政府や警察組織などもクライアントとしています。暗号通貨が犯罪に利用をされた事例は過去に多くあり、そのときにブロックチェーン分析ツールを用いて、捜査協力をします。

例えば、同社が捜査協力をした事例として、MtGOXのハッキングがあります。具体的にどのような捜査協力をして成果があったかは公表されていませんが、このようなことを行う会社です。また、IRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)は、2017年から同社と契約をして、Chainalysisのツールを使用して、脱税者の追跡をしているといいます。

ブロックチェーンの分析によるコンプライアンス領域の大きさ

ブロックチェーンの分析によるコンプライアンス領域がいかに大きい分野になり得るか感じ取れます。犯罪のための資金移動やマネーロンダリングは、経済圏が出来れば、自然と生まれてしまうことは仕方ないことですが、業界としてそれを適切に対処する術を持つことは必要です。ブロックチェーン分析企業はそのために不可欠の技術であると言えます。

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