イーサリアム上で発行されている自称USDにペッグするとされているステーブルコインのテザー(USDT)は 、USD価格においてイーサリアムのネィティブ通貨のETHを上まったという。テザーはもともとビットコインベースのOmniレイヤー上で発行されていたが、現在の発行数では主にイーサリアム上で使用されている。
ETHを上回るUSDT送金額
仮想通貨の投資家や政府の規制当局向けにデータツールを提供するメサリ(Messari)によるとイーサリアム上で発行されているUSDTの送金総額がETHを超えたとしている。2018年にDAIやUSDC、GUSDなどのイーサリアム上で発行するステーブルコインのブームが起き、2019年にDEX(分散型取引所)やレンディングによって火のついたDeFi(分散型金融)によりERC20トークンのステーブルコインの送金総額をチャート化したものが下記のデータとなる。
出典:Messari
当初はMaker DAOのコントラクトによって発行企業が存在しないDAIやPoloniexを買収した過去を持つ米サークルのUSDCなどが緩やかな推移をしていたことがわかる。だが2019年7月頃から大きくUSDTの送金額は上昇しはじめていることがわかるだろう。
ETH価格の下落とUSDT送金の増加
Messariのリサーチャーであるライアン・ワトキンス(Ryan Watkins)氏によると、2019年中旬にUSDTの送金額はETHを上回っており、11月に最大値を記録したことが下記チャートで確認できるだろう。
出典:Messari
だがこれはあくまでETHのUSD建て価格であることに注意が必要だ。実際にETHUSDチャートと比較すると下記チャートのようになる。2019年4月にUSDTの送金が上昇開始、イーサリアム価格はビットコイン価格が140万円まで回復したことで、7月に最大で360ドルを記録している。
出典:Trading View
そして8月にはETH価格が200ドルまで下落し、USDTの送金数が上昇したことによってETH送金数を上まっている。2019年12月にはETH価格は121ドルまで下落し、2019年最高値から3分の1の価格を記録しているのだ。
これらのデータから分かることは、ETH価格の下落に対してイーサリアムのセキュアなコントラクトプラットフォームとしての需要が安定しているということだろう。DAIのDSRが米株の年間リターンを上回るなど2020年はさらにDeFi市場は成長していくだろう。
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