​UCバークレー​国際コンピューター科学研究所の有名研究員であるNicholas Weaver​氏は仮想通貨とブロックチェーンを「一つの大きな詐欺」と痛烈に批判。

​Weaver氏が指摘する根拠を参考に、仮想通貨の欠点を整理した。

UCバークレーの著名研究員が仮想通貨を痛烈批判​

​UCバークレーの著名研究員であるNicholas Weaver​氏​は1月29日にカリフォルニアで開催されたEnigma security conference​に登壇し、仮想通貨に対する自身の見解を明示した。仮想通貨はランサムウェアなどの犯罪への加担や、犯罪集団への資金提供を助長することが主目的であると考えているようだ。

さらに、Weaver氏は仮想通貨の分散型構造やブロックチェーン技術が既存の金融システムを根本から変えるという根拠はないことを主張。仮想通貨は「誤った認識によって不当に高い評価を受けている」と現状を分析した上で、投資家が不合理に活気付いていることが市場に悪影響を及ぼしていると言及した。

“Cryptocurrency: Burn It With Fire’​’という表題で、Weaver氏はカンファレンスの参加者に対して以下のように演説を行い、痛烈に批判をしている。

「結論から言うと、それ(仮想通貨)は悲惨な空間だ。プライベートブロックチェーンは古い考えであり、単なる流行語に過ぎない。パブリックブロックチェーンは非常に効率が悪く、仮想通貨は犯罪防止策としては全く機能しない。(中略)そして、この分野は今後500年に渡って失敗が続くだろう。手に触れないことが唯一の得策なのだ。」

仮想通貨の欠点は

​Weaver氏が仮想通貨を痛烈に批判する理由として、以下のような理由を挙げており、そこには仮想通貨の欠点が垣間見える。

仮想通貨は決済手段として有用ではない

​第一の理由として、Weaver氏は仮想通貨が現行の法定通貨やカードの決済手段にはならないと考えているようだ。

仮想通貨取引は高額

​仮想通貨取引には制御する中央機関がないため、「根本的に既存の金融機関とは互換性がない」とWeaver氏は指摘する。

仮想通貨を入手するためには(1)法定通貨を取引所に入金(2)取引所にて現金を仮想通貨に換金する(3)換金した通貨を運用する という三つの手順があり、いずれのステップでも高い手数料がかかってしまうことが問題となっている。

仮想通貨はデフレ通貨

​仮想通貨は発行上限が決まっているために、将来的な価格上昇が期待されるデフレ通貨」としての性質がある。リップルやライトコインなどがその代表例だ。

しかし、歴史的に省みた際に、第一次世界大戦後に同じくデフレ通貨として機能していた金が失効したことにWeaver氏は言及している。金に通貨の価値を裏付けていた金本位制が上手くいかなかったことから、仮想通貨の将来を危惧している。

​仮想通貨は管理が難しい

​オンライン上で管理する「ホットウォレット」ではハッキングによる盗難リスクが高まるのは周知の事実だろう。従来の法定通貨と比べても盗難リスクが高いことがネガティブな印象をWeaver氏に与えているようだ。

「仮想通貨が分散型」は神話である

​理論上は中央管理の主体が存在しないがゆえに「仮想通貨は分散型である」という命題が成り立っている。しかし、実際のところは準中央集権的な機関が存在していることにWeaver氏は違和感を感じている。

代表例として、The DAO事件後のイーサリアムの対応を挙げている。80億円相当のETHが盗まれた同事件に置いて、イーサリアムはハードフォークという対抗策によって、ハッキングで奪われた資産を取り返した。

これは裏を返せばイーサリアムの運営は、運営側に不利益が降りかかるような状況になったとき、それをリセットする権限を備えているということを意味しており、中央機関が存在してしまうことになってしまう。 

The DAOは、世界中から注目された超有名な人気ICOでしたが、システムの脆弱性を突かれ時価80億円程の資金を盗まれるという事件を起こしてしまいました。その事件の内容や今後への影響をコインオタクが真剣に考察しました!


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