
DEX(分散型取引所)のプロトコルである0x(ゼロエックス)は、このプロトコルを用いて様々なサードパーティーの開発者がリレーヤーとしてDEXを作成できます。すでにサードパーティーの数は多く存在し、Ethereum(イーサリアム)のエコシステムの中でも最も重要なプロトコルの一つになっています。
ZEIP23として提案されたMultiAssetProxy(MAP)とは
この0x(ゼロエックス)のプロトコルで、MultiAssetProxy(MAP・ZEIP23)の実装が進んでいます(参照)。MultiAssetProxy(MAP)は、トークンのバンドルを売買できる実装です。バンドルは、ERC20、ERC721が利用できるようです。これが実装されると、例えば、下記のようなことが出来るようになります。
- 20枚のNFTカードをパッケージとして売買
- どの予測市場で作成されたにも関わらず、ある予測市場の特定のショートトークンをまとめてパッケージにして売買ができる
- あるERC20トークンをパッケージ化して、売買できる。つまりDEXで上場投資信託のようなものの売買ができる
などです。
なお、この実装は0xチームが、NFT(Non-Fungible Token)のマーケットプレイスとして世界最大のプロジェクトであるOpenSeaから、NFTをバンドルでトレードしたい需要は大きいという意見をもらってスタートしたものだといいます。実装は、0xのCTOであるAmir Bandeali氏が担当したといいます。
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0x(ゼロエックス)のオンチェーンガバナンス
MAPは既にコードは出来ており、ConsenSys(コンセンシス)の監査チームからの監査も終えていると発表されています。特筆すべき点として、今回のアップデートを実装するかどうかはコミュニティの判断に委ねるという点です。
0xはZRXというトークンが存在しており、このトークンは将来的にプロトコルのアップデートに関するガバナンス投票に用いられるとされていたものの、プロジェクトの初期段階においては、その機能は持ちえませんでした。
こういったブロックチェーンのガバナンス実装の困難性については下記のレポートで解説しています。
参考:ブロックチェーンのガバナンスについて。プロトコルを分散的に決定する仕組みとその是非、トークンの評価算定まで
初期段階においては、コア開発チームが集中して実装すべきであることや、オンチェーンガバナンスのシステム自体が現時点をもってもリサーチ段階にあるからです。しかし0xチームは、ZRXトークンを使いコミュニティにガバナンスを委譲し、徐々にプロジェクトを分散化させていく予定であると公言しています。
今回は、そのZRXトークンを用いたプロトコルアップデートの試金石です。この実装をマージするかどうかの投票は、2月18日から一週間をかけて行われます。
シンプルにZRXのステークが最も多かった提案が可決され、投票期限がすぎると、結果に基づきスマートコントラクトによるオンチェーンガバナンスでコードは即座にデプロイのフェーズに入ります。2週間のグレースピリオド(猶予期間)を経て、実装が完了します。
0xのファウンデーションが保持しているZRXトークンは投票に使えないですが、ファウンデーション所属のメンバーが個人として保有するZRXをステークすることはあり得るそうです。
考察と総論
ブロックチェーンのアップデートをオンチェーンガバナンスで実装をすることは一つの大きいハードルです。しかし、オープンソースプロジェクトにトークンで価値をつけ、ガバナンスを実装していく手法としては、興味深いテーマです。
そして、既にステークホルダーが多い0xのようなプロジェクトでこのようなガバナンス投票が実験的なレベルでも行われていることは良い観測対象でしょう。
また、MultiAssetProxyの機能は、既にSetprotocolというものが別のプロジェクトで存在していましたが、0xでネイティブで実装をされると、Setprotocolはほぼ役目を終えるのではないか、と筆者は考えています。
それだけ0xは影響力が大きいEthereumのセトルメントレイヤーであるとも言えるでしょう。
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