暗号通貨・ブロックチェーン業界でのオープンソースソフトウェアの重要性
暗号通貨・ブロックチェーン業界ではソフトウェアやアプリケーションがオープンソースである割合が非常に多いです。具体的には、パブリックブロックチェーンのクライアントそれ自体(Bitcoin Core、Ethereum GethやParity)、サードパーティーのウォレット(Green address、Copay)、開発者ツール(Element、ZeppelinOS)などです。
少なくとも、トラストレスや運営社に信頼が必要ないと説明されるようなソフトウェアやサービスでは、コードが公開されていることは十分条件ではなく必要条件です。
オープンソースソフトウェアはソフトウェアのコードを公共に公開し、社内外で開発するという取り組みです。クラウドソージングの枠を超えて社外の人と共創をするため、早く開発できる手段になりえます。
オープンソースは、ソフトウェアの発展をどれだけ早めてきたか
Linux(リナックス)は、1991年にリーナス・トーバルズ氏によって発表されました。当時この発表と同時に、専門家向けではなく趣味のためのものですがという言葉を添えてフリーのOSを発表しました。ソースコードを公開したこの趣味から始まったOSは、様々な企業や開発者が集まり、今や最先端の科学技術用コンピューターからウェブサーバー、ネットワーク機器、POSシステム、軍事システム、金融システム、モバイル機器に至るまで、あらゆるシステムに採用されています。
もしこのコラムを読んでいる人が、Androidのスマートフォンを持っているなば、それはLinuxを元に開発されたものです。ソフトウェアの世界はオープンソースがその推進スピードを早めることに大きく貢献しました。何故スピードが早いのか、それはマクロで見たときに車輪の再発明がないからです。
オープンソースのコードを利用して改良した製品をオープンソースコミュニティにフィードバックしないということも可能ですが、そういった開発体制ではオープンソースの開発スピードに追いつけず、オープンソースコミュニティに加わるという事例も多いです。そうすると、そのオープンソースのコミュニティ内においては、開発されたものがフィードバックされるで、誰かが開発したものを、それを認知せず別の人が開発するということがなくなります。
結果、多くの開発者が効率的に協同できます。
ブロックチェーン業界が、オープンソースソフトウェア企業のビジネスモデルを学ぶべき理由
オープンソースソフトウェアを専門に扱う企業で最も成功した事例であるRed Hat(レッドハット)は、単独で顧客のためになる仕事をしているのではありません。Red Hatは当然単独の企業でもありますが、Linuxオープンソースコミュニティの一部でもあります。
近年、オープンソースソフトウェアに深く関わる企業が出している成果は目覚ましいです。2018年はRed Hatが340億ドル(約3兆7,500億円)でIBMに買収され、MuleSoft(ミュールソフト)が65億ドル(約7,168億円)でSalesforce(セールスフォース)に買収、Elastic(エラスティック)は2018年米国で3番目に大きいIPOを実現しました。
冒頭に述べたように、ブロックチェーン業界はオープンソースソフトウェアが非常に多いです。業界の企業は彼らから学ぶことは多いでしょう。下記のレポートを配信しましたので、興味ある方は御覧ください。
参考:ブロックチェーン業界が、オープンソースソフトウェア企業のビジネスモデルを学ぶべき理由
関連
・起業家としてブロックチェーン領域に向き合う上で大切にしていること
・海外クリプトメディアの「5年間、暗号通貨メディアを運営して学んだこと」を読む
d10n Labのリサーチコミュニティでは、ブロックチェーン業界の動向解説から、更に深いビジネス分析、技術解説、その他多くの考察やレポート配信を月に15本以上の頻度で行なっています。コミュニティでは議論も行えるようにしており、ブロックチェーン領域に積極的な大企業・スタートアップ、個人の多くに利用頂いています。
▼d10n lab 未来を思考するための離合集散的コミュニティ
https://d10nlab.com/