
ビットコイン(BTC)の価格は長い下落相場からトレンド転換をできずにいます。海外をはじめとしたブロックチェーン業界では、この下落相場から関連する影響なども踏まえて「クリプトウィンター」という言葉が浸透しています。
Coindeskは2月1日、ビットコインの価格下落は歴代最長になったことを報道しました。
2019年2月1日をもって、過去最高値の1万9,764ドル(約218万円)を記録した2017年12月17日から422日間の下落トレンドを続けており、これは2013-2015年の下落トレンドより長い過去最長です。(参照)
その後、この下落トレンドは執筆時点まで続いています。
2016年以前のビットコイン(BTC)下落相場と何が違うのか?
しかし、今回の暗号通貨の下落相場は長引いているものの、これまでとは決定的に異なる点があります。著名クリプトファンドのパンテラ・キャピタル(Pantera Capital)のダン・モアヘッド(Dan Morehead)最高経営責任者(CEO)は、以前の暗号通貨の冬の時代と比べて、現在の暗号通貨環境のファンダメンタルズは決定的に優れているとコメントしています。(参照)
こういった意見はさまざまな方面から出てきています。
2015年、2016年を知ってるか、いや知ってるかだけでなく肌で体感していたかそうでないかで今のクリプト相場に対する考え方全然違うと思う
反応の分かれ具合見てもそんな感じ
— ヨーロピアン (@sen_axis) 2019年2月12日
2013-15年の下落相場では、そのままビットコインが世界的に禁止にされるような恐れもありました。またビットコインは、麻薬取引サイトでの決済手段が最も主要なユースケースで、その技術や仕組みの背景は一般に浸透していませんでした。当時のビットコインにまつわるファンダメンタルズはその程度だったにも関わらずに、マウントゴックス事件という大きなハッキングが起きました。
当時の業界を知っている人の中でも、ビットコインが立ち直れるのか確信を持てた人は決して多くなかったですし、確信を抱くのは困難であったことも理解できると思います。
しかし現在は、これとは全く状況が異なると言って良いでしょう。2019年現在では、一度世界が暗号通貨バブルを経験したことで、暗号通貨に関する基礎的な知識が以前より多く浸透しました。そして、かつてないほどに世界中の金融当局が健全にこの技術と金融システムを議論しています。
また、多くの機関投資家が、新しいアセットとして暗号通貨に関心を示しています。世界最大の運用会社であるフィデリティ(Fidelity)は、暗号通貨のトレードプラットフォームとカストディを計画していることを発表しています。
その他にも、米バージニア州の年金基金は、暗号通貨・ブロックチェーン特化ファンドであるモルガン・クリーク・ブロックチェーン・オポチュニティ・ファンド(Morgan Creek Blockchain Opportunities Fund)に出資を行っています。現在の暗号通貨をとりまく状況は、2013−15年では考えられなかったような、良いものになっています。
ビットコイン(BTC)自体のファンダメンタルズ
こういった機関投資家周りの動き以外にも、ビットコイン自体のファンダメンタルズは向上しています。ビットコインのセキュリティそのものとも言えるハッシュレートは、下落したとはいえ、2018年初より底を切り上げています。
(参照:https://www.blockchain.com/charts/hash-rate )
さらに、ライトニングネットワークなどの新規技術の開発と浸透も活発です。
関連:ライトニングネットワーク(Lightning Network)を解説、2019年はさらなる進歩に期待
また、来年2020年にはビットコインのブロック報酬の半減期が訪れ、現在のブロック報酬の12.5BTCから6.25BTCに変更されます。
Here’s your #bitcoin halving and price guide.
– 1st halving (11/28/2012): Price bottomed 378 days before then rose 510%
– 2nd halving (07/09/2016): Price bottomed 539 days before then rose 309%
– 3rd halving (~05/25/2020): Roughly 497 days until halvingContinued… pic.twitter.com/cULVhqDHGv
— CoinDesk Markets (@CoinDeskMarkets) 2019年1月31日
ビットコインの総量は有限です。このような点を考えると、2013−15年の下落相場を経験している投資家やユーザーが、2019年の今、長い下落相場が続いているのにも関わらず強気の姿勢で市場に向き合える理由が分かるのではないのでしょうか。
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