イーサリアム(ETH)への投資・投機熱上昇中!今後の金融政策で仮想通貨市場に影響はあるのか

イーサリアム(ETH)への投機熱再び

暗号資産(仮想通貨)マーケットのトップ10通貨が、短期チャートで軒並み持ち合い状態にある中で、
イーサリアム(ETH:Ethereum)は活発な値動きを見せています。現時点において日足で見ると3.1%、週足では28.8%の上昇となり、3,247ドル(約35万8,500円)という高値を記録しました。

時価総額2位であるイーサリアムは、大型アップデートの「ロンドン・ハードフォーク」にて、手数料改善提案のEIP-1559が実装されたために上昇基調にあるとされています。シンガポールを拠点にする仮想通貨企業QCPキャピタル(QCP Capital)社の報告によると、イーサリアムの価格は7月中に記録された最低価格の1,718ドル(約18万9,700円)から85%もの上昇になりました。

この値動きは、アップグレードがマスコミに採り上げられたことによる短期的なものとも考えられていますが、EIP-1559実装によりデフレ的な特性が備わることにから、「サウンドマネー(健全通貨)」を超える「ウルトラサウンドマネー」になると仮想通貨業界の内からも外からも期待と関心を集めています。

QCPキャピタルによると、イーサリアムのアップグレードは個人投資家や投機家を市場に引き戻しただけでなく、さらなる買い圧力をマーケットに生み出したとされています。それに加えて投機家はイーサリアムやビットコイン(BTC:Bitcoin)といった主要通貨、その他の仮想通貨を用いた証拠金取引だけではなく、NFTs(非代替性トークン:Non-Fungible Tokens)に注目しているとのことです。

同社はさらに、NFTの取引総額は拡大を続けており、DeFi(分散型金融)プロトコルやその他イーサリアム上で発行されているトークンなどの総額を上回っていることも発表しました。EIP-1559の実装後に、NFT関連のトランザクションで生じた基本手数料(base fee)21,291ETHがバーンの対象になりました。

バーン対象となった大部分の手数料は、NFTマーケットのオープンシー(OpenSea)で行われたトランザクションで生まれたもので、エコシステム上で最も人気のある分散型アプリケーション(dApps)および分散型取引所(DEX)のユニスワップv2(Uniswap v2)を大きく上回っています。

QCPキャピタルは、イーサリアムのバーンが増加することで、個人投資家や投機家からより高い評価や多くの興味を集めることになり、さらなる投機につながるとしました。そして、投資家たちには「自己強化サイクル」のバイアスがかかるようになり、強気市場が動き出すとも述べています。

仮想通貨は他市場からの影響を受けるのか

こうした状況下でもQCPキャピタルは、依然として短期的な価格下落リスクへの警戒心を持っています。同社は過去のレポートで、「8月中は空売りを狙う層にとって取引しにくい環境となるだろう。ただ、EIP-1559の実装によって買い注文は続くものの、米国連邦準備制度(FED:U.S.Federal Reserve System)のテーパリング(金融刺激策の段階的縮小)によって、最終的にイーサリアムの価格下落が起きる可能性がある」と述べました。

FRBが行う金融政策は、現在もマーケットに多大な影響を与えていますが、QCPキャピタルは、もし消費者物価指数がより低いインフレ傾向を示した場合、テーパリングが起こる可能性をさらに高め、マーケット全体が弱気傾向へとなっていく可能性を指摘しました。

また、最近のコモディティと貴金属関連に見られる値下がりの傾向は、仮想通貨のマーケットに別の側面をもたらしています。QCPキャピタルの分析によると、ビットコインをはじめとする仮想通貨は、過去にゴールドの取引市場と62%もの相関性を持っていたとされています。仮想通貨市場は現在ゴールドと逆の値動きを見せていますが、専門家の多くは、これらのマーケットは今後再び強い相関性を取り戻すと考えています。

イーサリアム(ETH)の価格・相場・チャート

参考
Ethereum Ecosystem Bolsters Bulls’ Power? What Brought Back Retail Investors

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