2018年のブロックチェーン・暗号通貨業界の主要なM&Aを概観【後編】

2018年は、暗号通貨・ブロックチェーンのスタートアップが立ち上がったり、多くのクリプトファンドの組成、それらファンドによる投資が行われてきました。M&Aも多く起きており、前編ではそのデータについても紹介しました。

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本コラムでは、前編に続く昨年(2018年)の目立った買収について紹介します。

2018年のブロックチェーン企業の目立った買収(後編)

Poloniex(ポロニエックス)=Circleが買収

Circle(サークル)は、P2P(ピアツーピア)の送金アプリを開発するフィンテックの企業です。また、暗号通貨にも以前から積極的に取り組んでいます。

暗号通貨関連の主要なプロダクトは、Circle Invest、Circle Trade、Circle Pay、USDC(USD Coin)の4つです。これに加えてPoloniex(ポロニエックス)を買収しました。2018年2月に同社はPoloniexを2018年2月に買収しています。買収金額は4億ドル(約442億円)と報道されています。

Telescope(テレスコープ)=Bitmainが買収

マイニング機器を販売する最大手のBitmain(ビットメイン)は、ビットコインキャッシュ(BCH)のブラウザウォレットを開発するTelescope社(テレスコープ)を買収しています。2018年に創業された同社のスピード買収は典型的なアクハイアだといえます。

Pantronics(パントロニクス)=Huobiが買収

Pantronics Holdingsは、香港を拠点とする、電力関連製品、電気製品、電子製品を製造、販売する投資持株会社です。シンガポールに本社を置く取引所のHuobi(フォビ)は、70%の株式を約7,000万ドル(約77億円)を取得しました。

Pantronics Holdingsは上場企業です。この買収によりHuobiは、リバースIPOを介して実質上のIPOができるようになる可能性があり、それを目論んだディールだったと推測されています。

Earn.com(アーン・ドットコム)=Coinbaseが買収

2018年の2月にEarn.com(アーン・ドットコム)をCoinbase(コインベース)が買収しました。買収金額は未公開ですが、少なくとも1億ドル(約110億5,000万円)以上ではと推測されてます。

Earn.comは、メールに返信したりタスクを完了することでビットコイン(BTC)を受け取れるソーシャルネットワーキングサービスです。忙しい人やインターネット上の有名人は、知らない人からメールをしばしば受け取るはずで、返信することも煩わしいですが、返信をするだけでビットコインを受け取ることが出来るというわけです。最初にアプローチする人は、ビットコインの支払いをしなければなりません。

この会社自体、それ以前はマイクロペイメントを見据えたフルノードが建てられるハードウェアを製造販売していました。ピボットをして上述のサービスに路線変更をしました。

2015年の年初、業界全体が黎明期の段階で1億4,000万ドル(約154億7,000万円)の資金調達を行いました。これは、それまでビットコインスタートアップとして最大の資金調達の最大金額であったCoinbaseを塗り替える金額で、業界では国内外で興味を持つ人がかなり多かったことを覚えています。

関連:仮想通貨取引所Coinbaseが同社史上最大の買収へ、ビットコインスタートアップ「Earn.com」とは?

結果、同社のビジネスは期待されてたほど上手く行かずにCoinbaseに買収される形になりました。(Earn.comの)CEOであるBalaji(バラジ)氏は、今回の買収後、CoinbaseのCTOに就任するといいます。

Paradex(パラデックス)=Coinbaseが買収

Coinbase(コインベース)は、分散型取引所0x(ゼロエックス)のリレーヤーであるParadex(パラデックス)を買収しました。執筆時点でParadexはCoinbaseウォレットに組み込まれ、米国と一部の国を除いたユーザーに提供されています。買収金額は非公開です。

過去の買収案件を振り返って気づくこと

ここまで2018年の主な買収案件を振り返りました。振り返ると、老舗の取引所の買収が特に大きいディールだと言えます。

また、過去にM&Aされたブロックチェーンスタートアップを調べると気づくことですが、有名なクリプトファンドが出資している企業はほとんど存在しません。これはVC(ベンチャーキャピタル)のEXITがM&Aなどではなくトークンの売り抜けだからなのか?、それともスタートアップのバリュエーションがつきにくいからなのか?いくつかの疑問が生じます。

この理由を考えてみますと、

  • M&Aされたブロックチェーンスタートアップの結構多くは、アーリーのアクハイアだからVCが出資する以前
  • VCが投資してるバリュエーションが高すぎる
  • 発行してるトークンとのコンフリクト(衝突・対立)

あたりに集約されるかと思います。

少なくともM&Aという文脈で見ると、誰が買ってるか?・・グローバルで一番クリプトスタートアップを買ってるのは、Coinbase(コインベース)です(参照)。

2018年のブロックチェーン・暗号通貨業界の主要なM&Aを概観【後編】出典:inwara

そして、その買収の基本戦略はアクハイアであると公言しています。他に買い手といえば、Binance(バイナンス)やCircle(サークル)などの取引所、ゲーム企業のAnimoca brands(アニモカ・ブランド)などが数件クリプトスタートアップを買っていたくらいです。

そうすると、そりゃ今の状態じゃVCが投資するバリュエーションで中々買わないよね、というわけで、VCの投資先がしっかり投資時のバリュエーション以上でEXITするためには、しっかりクリプトがユースケースを示して価値創出するしかないと言われ、それが2019年に試されるといえるでしょう。

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