ICO(イニシャルコインオファリング)とSTO(セキュリティトークンオファリング)。
どちらも仮想通貨トークンを利用した資金調達手段だ。
今後仮想通貨が普及するにつれて、どちらもさらなる需要が生まれる見込みが強い。
だが、この2つの違いをあまり理解していない方も多いのではないだろうか。
本稿では、ICOとSTOの違いを解説していく。
そもそもICO、STOとは何か
ICO、STOはどちらも仮想通貨トークンの販売による資金調達を目的としている。
その手軽さから、仮想通貨スタートアップの資金調達方法として非常に人気だ。
ICOで販売されるトークンはそのプロジェクトのサービス内で利用可能となることから「ユーティリティートークン」と呼ばれる。
ユーティリティトークンはそのサービスの需要が増加するにつれて価値も上昇していき、プロジェクト支援者、すなわちICO購入者にとってはそこがうまみとなる。
一方、STOで販売されるトークンは「セキュリティトークン」と呼ばれ、その価値は発行者の企業資産に裏付けされている。
そして何より重要なこととして、セキュリティトークンは米証券取引委員会(SEC)から認可を受ける必要があり、SECをからは有価証券と同様に扱われる。
投資リスク・規制リスクの低さからSTOが増加
ICOは2017年から2018年にかけて最も盛り上がりを見せていた。
しかし、盛り上がれば盛り上がるほどその波に乗って悪事を企てるものがいるのも世の常だ。
ICOのうち、81%が詐欺だったという調査結果も存在する。
そのうえ、たとえ詐欺でなかったとしてもプロジェクトが失敗してしまえば、発行されたトークンはなんの価値も持たなくなる。
大手監査法人PwCの香港支局が、仮想通貨企業向けに「うまくいかなくなったときの対処法」についてのレポートを公開した。その背景にはICOによる資金調達の終焉など、仮想通貨スタートアップの没落のビジョンがあった。
このような投資リスクの存在から、ICOに関しては規制のリスクが存在しているのも事実だ。
それに対しSTOによって発行されたトークンはその裏付けとなる企業資産が存在していることから、プロジェクトが失敗した場合にもICOトークンほど価値を落とすことはない。
また、企業資産を裏付けとする上でSECを通した法的手続きを行う必要もあり、詐欺が発生するリスクも小さいのである。
こういった投資リスクの存在からICO市場は昨年の夏頃から急激に市場が縮小し、代わりにSTOによるクラウドファンディング市場が拡大し始めたのだ。
このような理由から、STOによる資金調達は今後市場を拡大してゆくと考えられる。
一方でICOに関しても市場は縮小する可能性が高いものの、SEC認可という法的な敷居の高さなどから今後も存在し続けることになるだろう。