2021年11月のピークからビットコイン(BTC)価格は70%も下落し、投資家の多くは危機感を感じています。さらにアナリストも大規模な不況を予測し、市場心理は過去最低レベルに悪化している状況です。これはS&P500やナスダック100指数に見られるエクイティ市場の下落傾向からも特に顕著であり、市場でのビットコイン投資にも大きな影響を与えています。
危機的なビットコイン投資信託の状況
アメリカのビットコイン投資ファンド「グレイスケール(Grayscale)」の上場投資信託である「グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC:Grayscale Bitcoin Trust)」の価格は、ピーク時の56ドル(約8,020円)から11.94ドル(約1,710円)へと大幅に値を下げています。同様に「スリーアイキュー(3iQ)」と「コインシェアーズ(CoinShares)」による合弁のビットコインETF「BTCQ(3iQ CoinShares Bitcoin ETF)」やカナダの資産運用会社「パーパス(Purpose)のETF「BTCC(Purpose Bitcoin ETF)」も急激に価格を下げています。
そして、GBTCは大幅な価格下落にもかかわらず、1日当たりの取引量も308万件程度に激減しています。これはビットコイン関連の金融商品に、投資家が懐疑的な感情を抱いているか、弱気市場がまだしばらく続くと考えている表れかもしれません。
加えて、最近の市況からは、特定の投資信託やETFからは資産が徐々に流出しているように見えます。例えば、2022年2月にピークを迎えてから、GBTCの総資産は減少を続けています。
投資効率を表す指標の「シャープ・レシオ指標(Sharpe ratio)」からは、GBTCが投資収益率(投資金額に対する利益の割合)の点でリスク調整能力の極めて低い資産であることを示しており、時間の経過とともに下降を続け、直近になってシャープ・レシオ指標は0.453にまで急落しました。
損失に次ぐ損失
暗号資産(仮想通貨)投資の新たな方法として生まれたビットコインETFですが、現在ではかなり悲観的な状況となっています。GBTCが大幅にディスカウントされているという現状にもかかわらず、1日当たりの取引量は緩やかな下落傾向を続け、GBTCを含む各投資信託とETFは所有するビットコインを何とか売りに出そうとしています。機関投資家によって売買されたGBTCは四半期ごとに公開されるため、最近に行われた取引の多くはまだ明確になっていない可能性もあります。
現段階で判断できることとすれば、シャープ・レシオ指標が示す通り、GBTCの投資収益率はかなり低く、リスクの高い資産となってしまっていることです。そのため、投資家はビットコイン価格の下落に対するリスク・ヘッジを準備し始めているかもしれません。
【参考】
Bitcoin Investment ETFs And Trusts Have Slowed Since May
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