
アメリカのコロラド州で開催されていたイーサリアム(Ethereum)のハッカソン、「ETHDenver」が終了しました。ETHDenverとは、イーサリアムのハッカソンイベントの中でも有数なもののうちの一つです。
今回のハッカソンでは、出てきてるアプリケーションの数、そして使えそうなものが多いという印象で、2019年はブロックチェーンのアプリケーションレイヤーに注目が集まる年だと改めて感じました。
これだけ多くのアプリケーションがイーサリアムで出てくるのは、標準化規格とミドルウェアのプロトコルの充実があってこそで、プロトコルのみに焦点が当っていた数年の成果が現れているとも言えます。
本コラムは、ETHDenverで発表されたプロジェクトのうち10個を紹介します。
ETHDenverハッカソンで発表されたプロジェクト10選
zDai
zkSnarksを使いBurner Walletの取引情報を秘匿化することで機密性を維持する実装の提案です。どこのお店で買ったかの情報などがパブリックに公開されないようになります。(zDai:参照)
DCX: Decentralized Content Exchange
IPFS上の暗号化されたコンテンツを交換できるプロジェクトです。(DCX: Decentralized Content Exchange:参照)
ETH Pages
イーサリアム(Ethereum)のアドレスとテレグラム(Telegram)のアカウントを紐付けることができるプロジェクトです。Keybaseのような形式です。(ETH Pages:参照)
SMS-blockchain-protocol
任意のイーサリアム(Ethereum)のコントラクトアドレスへのトランザクションを、スマートフォンのSMSから行えるようにすることができる開発者ツールです。(SMS-blockchain-protocol:参照)
Delfi
Delfiはオンチェーン上で、オンデマンドでクリプトの価格を引っ張ってくるオラクルです。一番取引高の多いDEXからLiquidlityで重み付けされたETH/DAIのスポット価格のインデックスを提供します。(Delfi:参照)
ETH/ZIL/BTC Atomic Swaps
ETH<>BTC<>ZILなどのクロスチェーンでのアトミックスワップを行えるプロジェクトです。ハッシュドタイムロックコントラクトを用いて行います。(ETH/ZIL/BTC Atomic Swaps:参照)
Safe CDP
自身がCDPを開いた際、担保にしたETHがロスカットされる価格に近づいたとしても、インセンティブ設計により、サードパーティーがロスカットされないようにETHを肩代わりして補給をするという仕組みの提案です。(Safe CDP:参照)
BuffiOS xDai-based p2p lending platform
xDAIのレンディングプラットフォームです。POA Networkのサイドチェーン上で稼働します。POA NetworkのサイドチェーンではEVMが動くので、イーサリアム(Ethereum)のメインチェーンの場合と極めて近い形で、スマートコントラクトによるレンディングができます。(BuffiOS xDai-based p2p lending platform:参照)
Eth This Then That
コーディングを必要としない、IFFTT(If This Then That)のイーサリアム(Ethereum)版です。Ethereum上では、DeFiに関するDAppも数多くありますが、それらを組み合わせをするのには時間がかかります。Eth This Then Thatを使えば、コーディングをする必要がなく、様々なDAppsを連携させることができます。(Eth This Then That:参照)
Universal Wallet
Universal LoginとWyreを使いデビットやクレジットカード情報を入力するだけで、Fiat(法定通貨)でDaiを購入できるウォレットです。(Universal Wallet:参照)
2019年の注目テーマは「DeFi(分散型金融)」
以上です。今回は、ETHDenverの中から10のプロジェクトをピックアップしました。
プロジェクトのカテゴリとしては、やはり割合的にDeFi(分散型金融)をテーマとしてものが多く、今年は終始このテーマが盛り上がると予想しています。また、ETHDenverではパネルディスカッションも行われており、動画は下記にアップされています。
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