COSMOS(コスモス)というプロジェクトがローンチを控えていて盛り上がっています。2017年にICO(イニシャル・コイン・オファリング)を終えてトークンが配布されていなかったプロジェクトですが、これからトークンが配布されます。
トークンの名称はATOM(アトム)というもので先物市場で価格がすでについていますが、ICO価格から20倍以上の価格がついています。
本コラムでは、COSMOSについて知っておくべきことを簡潔に解説します。そして、ATOMトークンを購入しようとしている人が気をつけておくべきことも述べます。
COSMOS(コスモス)について基本概要
COSMOSはブロックチェーンの相互運用、スケーラビリティの2点の解決を目指すプロジェクトです。新しいスマートコントラクトプラットフォームではありますが、アーキテクチャのアプローチが根本的に異なり、3rdレイヤーなどとも呼ばれます。
COSMOSは単体で1つのブロックチェーンであるということではなく、いくつかの機能を総称してCOSMOSとしています。この点が理解をしにくくしていますが、以下の3点から理解を進めると、分かりやすいです。
それぞれ後述でより詳細な解説を行いますが、以下が簡単な理解になります。
【1】Tendermint Core(Tendermintのコンセンサス層)
Tendermint Coreは、COSMOSの基盤となるコンセンサスのアルゴリズムで、高速な合意を行うことができます。COSMOSのアイデアの原型になっていたコンセンサスアルゴリズムで、COSMOSプロジェクトとは独立して開発されていました。BFT・PoSです。
【2】ACBI (Tendermintのアプリケーションインターフェイス)
Tendermintは、上述のTendermint Coreのコンセンサス層の他に、ABCIという2つの構成要素から成っています。ABCIでは、アプリケーション開発者が様々なプログラミング言語で開発を行えるようなインターフェースを提供します。
【3】IBC(Peg Zone、COSMOS HUBと呼ばれるクロスチェーンを実現するプロトコル)
COSMOSを構築する重要な要素として、Inter Blockchain Communication(以下IBC)と呼ばれるものがあります。これが異なるブロックチェーンの相互通信を可能にする機能です。
これがハブとなって、このハブブロックチェーンにアクセスをしているブロックチェーン(A)は、同じくハブブロックチェーンにアクセスをしているブロックチェーン(B)と通信ができます。ブロックチェーン(A)とブロックチェーン(B)はそれぞれアクセスする必要はなく、ハブを介せばそれぞれがコミュニケーションをとれるということです。
図がこちらです。
参照:https://cosmos.network/
より詳しくは下記の記事に詳しいです。
参照:異なるブロックチェーンを相互通信するCOSMOSの仕組みを理解する。
COSMOS HUBローンチまでのマイルストーン
さて、ここからCOSMOSのローンチについて触れます。これは、ATOMトークンを購入しようとしている人が気をつけておくべきことでもあります。
COSMOSは、今回のローンチで全ての機能はローンチをせず、COSMOS HUBの部分のみのローンチします。最も期待されていたIBCの部分、つまりブロックチェーンを相互接続する機能はまだローンチしません。このIBCは、まだ先になります。
COSMOS HUBローンチまでのマイルストーンは下記のようなプロセスになります。
- Cosmos SDKのセキュリティ監査(完了)
- Cosmos SDKの仕様凍結(完了)
- Game of Stakes(完了:これはテストネットでの試験的なステークでのトークンの保有量に応じてメインネットトークンATOMを付与するもの)
- Genesisトランザクションの収集
Genesis時点に際してのATOMトークンの推奨割当が発行される。ICO参加者、コミュニティパートナー、Game of Stakesでテストネットトークンを獲得した人が推奨割当を受け取れます。推奨割当を持つ人は、Genesis時点でバリデータになるために必要となるgentxを発行できる権利を得ます。 - COSMOS HUBメインネットローンチ
これは、genesis file(推奨割当およびgentxの収集結果)がコミュニティにより採用され、投票パワーの2/3以上がオンラインとして準備できるとローンチとなる。
参照:cosmos blog
以上がCOSMOS HUBの概要と、HUBがローンチをするまでのマイルストーンです。まだIBCが利用できないことは注意が必要であるという点は留意しておくべきでしょう。
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