
投資家が幻滅をしたトークンへの投資
2017年に多くのICO(イニシャル・コイン・オファリング)プロジェクトがトークンを発行し、多くの個人投資家がそれを購入・損失したことは周知の通りです。ほとんどのユティリティトークンは、トークン価格がピークから95%以上の下落をして、市場から消え去ったトークンも少なくありません。
2019年の今、暗号通貨マーケットの市場参加者は、多くのトークンが機能せず投資に値をしないことを学習しました。ファンドの投資ディールも2018年中盤から2019年にかけては、トークンに投資をするのではなく株式会社のエクイティに投資をすることが増えました。
今こそ優れた良い設計のトークンに投資をすべきであるという主張
しかし、著名クリプトファンドPlaceholderのパートナーであるChris Burniske(クリス・バーニスク)氏は、今こそトークンに投資をする時期であると主張し、実際に同ファンドでは多くのトークンに投資を実行しています。
ニューヨークを拠点にするPlaceholderは、バーニスク氏とJoel Monegro(ジョエル・モネグロ)氏によって2017年に設立されたクリプトファンドです。トークンモデルやファイナンスの観点からクリプトエコノミクスを分析をする鋭い示唆に定評があるチームです。
彼が提唱した「Cryptoasset Valuations」は、海外のクリプトファンドでは読んだことがない人はいないと言っていいほど多くの引用がされた文章です。
参考:暗号通貨の評価算定「Cryptoasset Valuations」を出来るだけわかりやすく解説
同ファンドによる以下のブログでは、今こそ(優れた良い設計の)トークンに投資をすべきであるということが書かれています。
参考:The Best Time to Buy & Build Tokens
彼らによると、今多くのクリプトファンドのディールは、株式会社のエクイティが中心になっていますが、それらの株式会社は数年後プロトコルを使ってビジネスをしているだろうと予測しています。
クリプトの市場が成熟をしたとき、
株式会社の数 >>> プロトコルの数
になっているはずであり、恐らくその数少ないながらもマーケットのドミナンスが高いプロトコルトークンの方が投資リターンが大きいという予測を主張しています。
これの前提としては、いくつかの分散化したミドルウェアプロトコル(例:Auger、MakerDAO、Gnosis)などの周りにセントライズなビジネスができるというプロトコルとビジネスレイヤーの関係図が前提にあります。これについては過去のこちらの記事が詳しいです。
関連:DApss、DEXという言葉の意味を考える、分散化はミドルウェアプロトコルに変容するという仮説
そして、そのプロトコルに今投資することもできるのに、何故しないのか?ということが、バーニスク氏のブログの要点です。95%以上のトークンモデルが欠陥であることには注意しながらも、トークンであるから長期投資の対象にならないということは全く無く、今こそ真剣に考えるタイミングです。
筆者の所感
筆者個人的には、バーニスク氏の主張には完全に同意です。ミドルウェアプロトコルを使う会社の数が増え、ミドルウェアのプロトコルの価値が高まるという論理も基本的に支持をしています。だからこそFat Protocolは正しく、実際のところそれは投資成績が証明しています(“ただしプロトコルの定義にもよる”という注釈が必要です)。
日本ではグローバルではほぼ誰も使っていないトークンエコノミーという言葉が流行っていながら、世界の先端のトークンモデルの分析、なぜそれがワークするのか、投資判断をできる人材や優秀なレポーターが少ないことが難点ですが、これは非常に重要です。
関連
・2019年のブロックチェーン業界予想: Fat Protocols”のみ”時代の終焉
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