イーサリアム(Ethereum)のレンディングプロトコルおよびセントライズなサービスによるレンディング提供の開始が増えています。Ethereumのレンディング関連のプロトコルは、Compound(コンパウンド)やMakerDAO(メイカーダオ)などで、セントライズなサービスの一例はBlockFi(ブロックファイ)などです。
これらのサービスやプロトコルは、それぞれ同じアセットの貸出機会、借入機会を提供している場合でも、その金利の決定の手法は全く異なり、結果、金利にも多くの差がついています。各サービスやアプリケーションの金利の決定の手法について触れていきます。
MakerDAO(メイカーダオ)
金利の決定プロセス:分散型ガバナンス
MakerDAOでは、ステーブルコインの借入のみで、何かアセットを貸出できるようなものではありませんが、金利の決定プロセスは分散型ガバナンスに分類されると言えます。
MakerDAOは、ETHをデポジットすることでステーブルコインを発行(借入)ができるレンディングプロトコルのような性質を持ちます。これには金利(Stability Fee)が発生しますが、この金利の決定は、MKRトークンホルダーの投票によって決定します。
これまで投票によって、2.5%から0.5%、そして1%と変更してきており、今後もトークンホルダーの投票によって変更されます。下記から借入が行えます。
参考:InstaDApp
Dharma Laver(ダルマレーバー)
金利の決定プロセス:マーケットでのマッチング
DharmaはEthereum上のレンディングプロトコルです。マーケットでの貸し手と借り入れが都度オーダーブックでマッチングをして、金利が決定します。Dharma Leverというインターフェイスが、Dharamでの貸出・借入を体験できます。
参考:Dharma Laver
Compound(コンパウンド)
金利の決定プロセス:アルゴリズム
Compoundは単一のコントラクトアドレス上で流動性プールをつくりながら貸出と借入を行うマネーマーケットプロトコルです。流動性プールを利用するという点でDharamaのようなマッチングモデルと異なります。金利は、流動性プールにアクセスする需要と供給に応じてあらかじめ規定されているアルゴリズムが算出します。
参考:Compound
BlockFi(ブロックファイ)
金利の決定プロセス:サービス提供企業によるオファー
これまで取り上げたものはEthereum上のレンディングプロトコルでしたが、BlockFiはセントライズなサービスです。BlockFiはユーザーに暗号通貨の貸出機会を提供し、その集めた暗号通貨を機関投資家に貸出をするようなモデルです。これによって機関投資家は暗号通貨の借入機会を得て、暗号通貨をショートすることができます。
この際の金利決定プロセスは、サービス提供企業によるオファーに依存するものになります。執筆時点でBlockFiの金利は年間6%、毎月複利で計算されて年間6.2%が提示されています。
参考:BlockFi
暗号通貨レンディングサービスの選択は慎重に
本コラムでは、貸出・借入機会が増えている暗号通貨連レンディングの金利決定方法を解説しました。それぞれでリスクも異なり、使うサービスの決定は、慎重に選ぶことをおすすめしています。
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