ビットコイン(BTC)先物開始予定のバックト(Bakkt)、なぜCFTCの認可が下りないのか?

ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社インターコンチネンタル取引所(Intercontinental Exchange :以下ICE)がビットコイン(BTC)先物取引とカストディ(保管)を視野の入れた新会社Bakkt(バックト)の設立を発表(2018年8月3日)してからもうすぐで8カ月が経とうとしていますが、依然として商品先物取引委員会(CFTC)から認可されません。

業界から大きな注目を浴びたBakkt認可の遅れには、どのような事情があるのでしょうか?

Bakkt認可の30日間公開レビューも開かれず

ICEは当初、Bakktを18年12月半ばに発足する予定でしたが、それを19年1月下旬にまで延期、さらに年末になって無期延期を決めました。ICEは改めて例外措置として、カストディ業務だけの認可を申請しましたが、19年Q1が終わりに近づいているというのに、CFTCは慣例である30日間の公開レビューすら決めていません。

決定に手間がかかっているのは何故でしょうか?12月22日に始まった政府機関の予算執行停止によって、5週間もの業務閉鎖の影響を受けて、CFTCの業務が滞ったことは考えられます。Bakktのビジネスプランは斬新で意欲的なものであり、そのため審査が遅れていることも間違いありません。

Bakktはビットコイン先物デイトレーディングを予定しており、その場合通常は現物(ここではビットコイン)を受け取ることになります。

Bakktの事業計画は自前のカストディ業務を含めて前例がない

一般に商品先物取引所は、クリアリングハウスの完全掌握の下でカストディを管理するために銀行もしくは信託銀行などのサービスプロバイダーを利用します。契約は銀行もしくは信託銀行で決済され、取引された資産はクリアリングハウスの仲介の下か、銀行や信託銀行に対する連邦もしくは州の監督の下で管理されます。

ところがBakktは、自身で取り扱う第三者商品保管所を開設する認可を求めようとしています。

Bakkt認可の遅れにCFTCとBakkt双方に微妙な見解の違いが

CFTCコミッショナーのブライアン・クインテンツ(Brian Quintenz)氏は2月下旬に、この時点でまだBakktの提案を受け取っていないと語っています。と言うことは、同氏は公開レビューを開始するかどうかを決める評決以前の問題であると示唆したことになります。

クインテンツ氏はこれまで、先物取引成立後の現物引き渡し(actual delivery)の問題に関する規制上のガイダンス作成作業の必要性を繰り返し述べてきました。つまりCFTCは、Bakktの提案に限らず、仮想通貨空間全体の問題として現物引き渡し問題を検討していることになります。

Bakktのアダム・ホワイト(Adam White)最高執行責任者(COO)は「この世界では、申請書を作成し、それをフェンス越えに投げ込み、戻ってくるのを待てば、事業を開始できるというような世界ではない」と語っています。

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参考
Interactive investor
U.S. Commodity Futures Trading Commission

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