ネム(NEM)カタパルトのロードマップが発表!今後の展開を解説!

2019年3月29日をもって、NEMブロックチェーン最初のブロック生成から4年を迎えた。
NEMのジェネシスブロックはこちら(NEM Explorer)。

ネム(NEM/XEM)のリアルタイムチャート

最初のブロック(ジェネシスブロック)から4年経過し、日本ではNEMブロックチェーン技術を使ったサードパーティアプリケーションやサービス開発を進める企業や個人が増えている印象がある。一方その状況の中で、2017年に発足したNEM財団は、NEMの開発支援やプロモーション活動を行ってきたが、組織の中で財政的な問題などがあり、組織として失敗したという判断になり、2019年に再編された。

NEM開発イメージ
出典:NEM.io財団によるカタパルトのロードマップと展望(Googleスプレッドシート形式)

ようやくNEM Catapult(カタパルト)の開発が進む

NEM Catapultは2018年中にローンチされる予定だったが、開発の進捗とNEM財団の活動が不透明でローンチがどんどん遅れてきている現状だった。Catapultローンチへの期待は、投資家やアプリケーション開発者の中で騒がれていたが、この不透明さに当時のNEM財団に対しても不信感が募り始めた。ただし、注意点として、NEM財団がNEM自体を作っているわけではないということは理解していてほしい。

そして2019年にNEM財団が再編され、ジェネシスブロックからちょうど4年となった2019年3月29日、Catapultに対するロードマップが発表された。ようやくCatapultローンチへ兆しが見えてきたのではないか。

Catapultの開発ロードマップ

Catapultはバージョンごとにコードネームをつけられ、Alpaca→Bison→Cow→Dragon→Elephantの順で進められている。現在Cowまで完了しており、次のバージョンはDragonとなるようだ。見て分かる通り、開発コードはアルファベット順に流れているため、Elephantの次も気になるところだ。

以下にロードマップの概略をまとめる。

時期 概要
2019年Q2(4月〜6月) Catapult事前テスト

  • Javascript、Typescript、JavaのSDKアップデート、PHP、Swift、Python、Unityのアルファ版提供。
  • Cowテストネットの公開、Dragonへのアップグレード。
  • ハードウェアウォレット(Ledger、Trezor)に対応。
  • 誰でも簡単にトランザクション、アカウント、ブロックチェーン履歴、ノード情報、ネットワークアクティビティを調べることができる。
2019年Q3(7月〜9月) Catapultテストネット公開

  • 使いやすさにこだわったモバイルウォレット。Catapultでのモザイク送受信に対応。デスクトップ版では、マルチシグ、トランザクション、ハーベスティング、メッセージ送受信、請求書発行、アグリゲートトランザクション、メタデータなどの機能も提供。
  • ライトニングネットワークとCatapultの動作を確認。
  • NEMモザイクとBitcoin、Ethereumのクロスチェーンスワップ動作確認。
  • 新たなソフトウェア開発キット(SDK)をリリース。
  • 【新たなコンセンサスアルゴリズムPOS+】
  • Elephantのリリース。
2019年Q3後半〜Q4初期 メインネットでCatapultを公開

  • コードはすべてオープンソースで提供。
  • 【アグリゲートトランザクション】ワンタイムスマートコントラクトを使い複数のトランザクションを一括処理することが可能。
  • 【マルチレイヤーマルチシグネチャー】M of Nで連署人の数を設定できたマルチシグがさらに複数階層で設定できる。
  • 【ハーベスティング】スーパーノードオーナーは、委任ハーベスターへリワード報酬を分けることが可能となる。
  • 【エイリアス】トランザクションとハッシュロックトランザクションでエイリアス(ドメインネームのようなもの)を使用可能。どのアカウントに向けてのトランザクションかわかりやすい。アカウントアドレスがわからなくてもエイリアスがわかればトランザクション送信可能。
  • 【アカウントプロパティ】任意設定により、トランザクションを受け取りたいアカウントやトークンのリスト設定可能。
  • ネームスペースサポート。
  • モザイクサポート。
  • 手数料などのアップグレード。
  • スーパーノードの報酬制度について今後の運用方針を決定。
  • Catapultのブランディングやマーケティング。
2019年Q4(10月〜12月) Catapultのローンチ後

  • ウォレット機能のアップデート。
  • アセットは簡易なデータ管理のためメタデータを持つ。
  • セキュリティートークンの作成と導入をサポート。
  • ウォレットやアプリでクロスチェーンスワップをサポート。
  • アポスティーユをより使いやすくするアプリケーション。
  • 投票機能をより使いやすくするアプリケーション。
  • Catapultを使いたいユーザーへの教育プログラム。
2020年以降
  • IoTサポート。
  • ライトニングネットワークに対応。
  • ステーブルコイン。
  • 投票モジュールの改良。
  • IPFS(NEMブロックチェーンをファイルストレージのように利用できる機能)

多様な可能性を持つ「NEM Catapult」

NEM Catapultの開発とローンチがようやくみえてきた。もちろんローンチがNEMにとってのゴールではない。Catapultがローンチされ、NEMブロックチェーンを使うケースやアプリケーションが増え、ビジネスシーンや消費者として普通に使用されていることが大事である。ロードマップでもあるように、Catapultにおいては新しい機能も豊富に追加される。これらを組み合わせることで、あらゆるシーンを想定しフレキシブルに応用できるブロックチェーンとなる。

例えば、「アグリゲートトランザクション」で複数のトランザクションを一括処理したり、「マルチレイヤーマルチシグ」でマルチシグに階層を持たせるように設定ができることは、単なるお金のやり取りとは違う、新しいサービスやエコシステムを考えることもできる。トランザクションと承認作業を高度設定できることで、自動化できるサービスも出てくるのではないだろうか。

また、NEM以外のブロックチェーンとクロスチェーンスワップが可能になることで、その拡張性は非常に大きくなると言える。これだけ高度なブロックチェーンとなれば、いかに使いやすく、ユーザーに優しいサービスを作れるかは、サードパーティアプリケーション開発者の中でも重要になってくる。なんでもできるからこそ、開発するサービスに必要な最低限の機能を絞り込むことも重要なのかもしれない。

更に、CatapultではコンセンサスアルゴリズムがPOI(Proof-of-Importance)ではなくPOS+(Proof-of-Stake-plus)となる。このあたりの詳細については、また確認していきたい。

ネム(NEM/XEM)の価格・相場・チャート

関連
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参考
NEM.io財団によるカタパルトのロードマップと展望(Googleスプレッドシート形式)
NEM Foundation

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