
仮想通貨関連法案の最新動向:トランプ大統領、8月までに署名へ
トランプ大統領、暗号資産法案に8月までに署名の見通し
トランプ米大統領は、8月の議会休会前にステーブルコイン法案および市場構造法案に署名する見通しであることが明らかになりました。ホワイトハウスの「大統領デジタル資産諮問委員会」エグゼクティブ・ディレクターであるボー・ハインズ氏が、トロントで開催された世界最大級のWeb3/暗号資産カンファレンス「Consensus 2025」で語ったものです。
ハインズ氏は「協議は今も続いているが、私は引き続き楽観的。大統領が望んでいることは、ステーブルコイン法案と市場構造法案を8月の休会前にまとめることだ」と述べています。また同氏は、トランプ氏やその家族による暗号資産プロジェクトへの関与は「利益相反には当たらない」との見解も示しました。CoinDesk JAPAN
米国の仮想通貨法案の動向
戦略的ビットコイン準備金の創設
米国では連邦と州の両レベルで仮想通貨に関する法整備が進んでいます。トランプ大統領は3月6日、「戦略的ビットコイン準備金(Strategic Bitcoin Reserve)」と「米国デジタル資産備蓄(U.S. Digital Asset Stockpile)」を設立する大統領令に署名しました。
これらの備蓄制度は、刑事・民事手続きで没収された暗号資産を原資とするもので、追加の納税者負担を伴わない形で運用される点が特徴です。特に戦略的ビットコイン準備金は、米政府が保有する約20万BTC(2.6兆円相当)をインフレやドル価値下落リスクに備える戦略的資産として位置づけています。CoinPost
州レベルでの法案成立
州レベルでは、ニューハンプシャー州が2025年5月7日に全米初となる仮想通貨準備金法案を成立させました。この法案により、州の公的資金の最大5%を時価総額5,000億ドル以上のデジタル資産(現在はビットコインのみ)に投資することが可能になりました。
アリゾナ州でもHB2749が可決され、州が管理する未請求資産やエアドロップ、ステーキング報酬を州管理の準備金口座に移管する内容が決まりました。テキサス州やオクラホマ州でも同様の法案が進行中です。CoinPost
日本の仮想通貨法制度改革
申告分離課税への道のり
日本の暗号資産(仮想通貨)税制では、現在は利益が「雑所得」として給与等と合算され、最高55%(住民税含む)の累進課税が適用されています。しかし、2025年は「税制」と「金融規制」の両面で歴史的転換点になる見込みです。
2024年12月の2025年度税制改正大綱では、申告分離課税(20%前後)への移行が検討事項に明記されました。また、金融庁は2025年6月末までに暗号資産の制度見直し案を固める方針を示しています。CoinPost
金融商品としての位置づけ
金融庁は2025年4月10日、暗号資産を「資金調達・事業活動型」と「非資金調達型」の2類型に分けるディスカッション・ペーパーを公開し、意見募集を開始しました。
また、自民党デジタル社会推進本部のweb3ワーキンググループは3月6日、暗号資産を金融商品取引法(金商法)の新しいアセットクラスとして位置づける制度改正案を公表。これにより、金商法相当の投資家保護を確立しつつ市場の萎縮を防ぎ、売買益を一律20%課税とする分離課税への道筋を示しています。CoinPost
仮想通貨法案がもたらす影響
ETF解禁への影響
新制度ではビットコイン現物ETFの国内解禁も検討対象となっています。米国では2024年1月にETFが承認され、機関投資家マネーが大規模流入した経緯があります。
国内でのETF解禁に向けては、以下の論点が浮上しています:
- ETFだけが申告分離課税(20%)で、現物取引が55%のままだと市場がゆがむ恐れ
- 金融商品取引法ベースの目論見書・四半期報告書、インサイダー規制の適用方法
- 年金・投信マネーの流入による流動性確保と市場操作リスクへの対策
「ETFだけが先に分離課税となれば、Web3エコシステムに資金が回らずイノベーションを阻害しかねない」との懸念も示されています。CoinPost
国際競争力への影響
申告分離課税(20.315%)への移行と、暗号資産を金融商品取引法の枠内で扱う新制度が同時に実現すれば、暗号資産取引の税率は最大55%から一律20%程度へ大幅に低下し、損益通算や最長3年の損失繰越も可能になります。
また、暗号資産が他の金融商品と同じ規制下で管理されることで、取引の一元管理やETFなど新商品の開発も進み、国内外の機関投資家が参入しやすい環境が整うでしょう。
主要国と比較すると、日本は税率が突出して高いだけでなく、暗号資産同士の交換にも課税し、損失繰越制度が未整備という二つの構造的なハンディキャップを抱えています。このギャップを解消するためには、包括的な税制改革が不可欠です。CoinPost
仮想通貨法案の今後
トランプ大統領は「米国を暗号資産の首都にする」との構想を掲げており、今後も仮想通貨関連の法整備が進むことが予想されます。特に「戦略的ビットコイン準備金」の創設は、インフレ対策や国債・ドル防衛といった国家財政上の戦略と深く結びついています。
また、日本では2025年1月開会の通常国会で、申告分離課税を盛り込む税制関連法案と、暗号資産を金融商品取引法へ組み込むための法改正案が同時に審議される見通しです。2026年度中の施行を視野に制度整備が進み、現行の最大55%課税や損益通算不可といった課題の解消が具体化する見込みです。
今後、各国の仮想通貨法案の動向が市場に与える影響は大きく、特にトランプ政権の政策と日本の制度改革の進捗に注目が集まるでしょう。
まとめ
仮想通貨関連法案をめぐる動きは、米国と日本を中心に活発化しています。トランプ大統領は8月までにステーブルコイン法案と市場構造法案に署名する見通しであり、戦略的ビットコイン準備金の創設も進めています。
一方、日本では申告分離課税への移行と金融商品としての位置づけを軸に、制度改革が進行中です。これらの法整備が進むことで、仮想通貨の法的地位が明確になり、投資環境の改善や市場の活性化が期待されます。
仮想通貨法律改正、仮想通貨法案アメリカ、ビットコインETFなど、仮想通貨を取り巻く法的環境は大きく変化しつつあります。今後も各国の法整備の動向に注目していく必要があるでしょう。
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