
イーサリアム(ETH)のユーザーエクスペリエンスを大きく向上させると期待される技術として、メタトランザクション(Meta Transaction)が、これから1年程度で大きく進捗をすることが期待されます。
メタトランザクション(Meta Transaction)とは?
Meta Transactionは、 秘密鍵をサーバーに預けず、手数料であるガス(gas)の支払いだけを WEBサーバーに肩代わりさせる技術です。つまり、Meta Transactionを使うと、ETHを持っていなくても、イーサリアム上のアセットのトランザクションができます。流れとしてはこのようになっています。
- ユーザーはトランザクションを作成し、自身の秘密鍵を使って署名する
- 署名したデータはイーサリアムのネットワークには送信せず、WEBサーバーにhttpなどで送信する
- WEBサーバーはユーザーから送られたトランザクションをデータとして持つトランザクションを作り、WEBサーバーが保有する秘密鍵で署名する
- サーバー側から署名したトランザクションを発行する
- スマートコントラクトがトランザクションを確認し、WEBサーバーにトランザクションを送った元々のユーザーが署名したトランザクションを実行する。
このMeta Transactionという仕組みを広めるために以下のような動きがあります。
ERC-1776トークン
ユーザーがETHを持っていなくても、ERC20トークンやERC721トークンをトランザクションできる、Meta Transactionを標準的に実装されたERC規格であるERC-1776トークンが提案されています。このトークンでは、リレーヤー(サービス提供者)にgasの支払いを肩代わりしてもらうことができます。
Meta Transactionによるユーザーエクスペリエンスの向上の恩恵を最も得るのは、ETHを持っていない新規ブロックチェーンユーザーです。つまり、これまでブロックチェーンに触ったことないユーザーをターゲットにするブロックチェーンゲームなどが最初に連想されるユーザーケースです。このERC-1776規格を提案しているのもゲーム系のプロジェクトです。
出典:The SANDBOX
グノーシス・セーフ(Gnosis Safe)
出典:Gnosis Safe
グノーシス・セーフ(Gnosis Safe)は、イーサリアムのモバイルウォレットです。ウォレットの機能としてMeta Transactionを実装し、このウォレットから作るトランザクションでは、ETHでgasを支払うのではなく、トランザクションをするERC20で代わりに支払いができます。
実際には、イーサリアムのネットワーク上ではgas(ETH)が支払われていますが、これはGnosis Safeがgasを代理で支払っており、そのgasに対して、ERC20トークンを支払うという構造になります。
まとめ
これからMeta Transactionのような技術が浸透をするとユーザーはETHを意識せずにブロックチェーンのアプリケーションを利用できるようになります。さらに、Meta Transactionを使用したトランザクションで、チャネルを開き、ステートチャネル(State Channel)のようなセカンドレイヤー上のアプリケーションに移動を出来ると、ユーザーがブロックチェーンを意識することはさらになくなるでしょう。これから数ヶ月から1年程度で、このような動きが目立つのではないかと筆者は予測しています。
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参考
・GitHub
・The SANDBOX
・Gnosis Safe
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