仮想通貨取引所のコインベースが世界に拡大、経営戦略を切り替え?

世界各国にビジネスを拡大するコインベース(Coinbase)

コインベース(Coinbase)が、同社のビジネスを行う地域の拡大と仮想通貨同士のトレードを開始することを発表しました。コインベースはこれまでアメリカとEU圏内ヨーロッパを中心に32カ国でサービスを展開していましたが、今回11カ国の新規の進出を発表しました。

新規の進出には、アルゼンチンとメキシコ、ペルー、コロンビア、チリ、インド、香港、韓国、インドネシア、フィリピン、ニュージーランドが含まれ、地域は限定せず、世界中で営業を始める意思が見られます。(参照

グローバルの取引ボリュームでのペア構成の変遷

コインベースのブログでは、グローバルの取引ボリュームでのペア構成の変遷にも言及されています。

コインベースの取引データ

上記は、2018年8月と2019年2月のグローバルの取引ボリュームの構成です。

仮想通貨同士のトレード、ステーブルコインと仮想通貨の取引ボリュームが増えていて、法定通貨と仮想通貨のトレードは43%から23%へと減少が顕著です。同社の取引市場では、サークル(Circle)社がイニシアチブを持って取り組んでいるステーブルコインのUSDコイン(USDC)を2018年から採用しています。

その他の主要取引所も、なにかしらのステーブルコインをトレードペアにすることが増えています。わずか半年を切り取るだけで、法定通貨の割合がここまで減っていることは興味深いと言えます。

仮想通貨同士のトレードを開始するということは、同社が多くの国に進出するという上でも、都合が良いでしょう。複数国で取引市場を共有できるからです。これが各国の法定通貨ペアを作っていた場合、そうはなりません。

また同社は現在、多くの取扱銘柄を増やしています。0x(ZRX)やバット(BAT)などから上場が始まり、直近ではイオス(EOS)とメイカー(MKR)、オーガー(REP)が新規上場をしました。(参照

なお日本国内においては、ステーブルコインが取り扱わていないことから、法定通貨と仮想通貨の取引の23%には日本の取引高も含まれていることでしょう。日本国内もグローバルの潮流に合わせ変化をするべきだと言えるでしょう。

リテール投資家フォーカスに経営戦略を切り替え?

一方で同社のこういった取り組みは、機関投資家ではなくリテール投資家へフォーカスを始めたとも評価できます。コインベースの機関投資家チームの多くが退職をしています。

関連:仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)で相次ぐ幹部の辞職、業界の勢力図に変化か?

こういった同社の状況については、多くの議論が各メディアで行なわれています。これについてはこちらのレポートでも詳しく取り上げています。

コインベース自身は、ミッションである「Open Financial System:開かれた金融システム」を実現するために大きなステップであると本アナウンスを締めくくっています。しかし、その実情は機関投資家へのトラクションが取れず、リテールに舵を切っているとの見方もできなくはなく、評価が分かれると言えるでしょう。

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参考
Coinbase①
Coinbase②


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