Facebookの仮想通貨プロジェクト「Libra」は世界規模になるか

明らかになりつつあるFacebookのプロジェクト

ウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)紙が、Facebookが開発している暗号通貨のペイメントシステムについて報じました。

社内のコードネームはプロジェクト・リブラ(Project Libra)であり、同名前での商標も取得したことも報道されています。Libraとは、古代ローマにおける質量・通貨の単位であったり、英語では天秤という意味を指します。

Facebookがステーブルコインを計画しているという噂はかねてより流れていた通りですが、今回の報道では、より詳細な情報が報道されています。Libraは、単なる国際送金手段に用いるのではなく、決済全体を担うペイメントネットワークを志向しており、パートナー企業にVISAやMasterCard、ファースト・データ(First Data)へ打診していると言います。

Facebookは、同プロジェクトのために10億ドル(約1,100億円)の出資者兼パートナーを探しており、その資金の使い道は、ステーブルコインの裏付けに使用する通貨であるとしています。Facebookのステーブルコインは、複数の法定通貨を担保に成り立つものを想定して開発されています。クレジットカードのトランザクション手数料を削減できる他、世界中にまたがるユーザー間でも送金できるようになります。

また、広告を閲覧をすると、リワードでステーブルコインを貰えるような仕組みも検討がされているといいます。非常に似たアプローチとして、ブレイブ(Brave)のベーシック・アテンション・トークン(BAT)があり、既にプロジェクトを立ち上げています。

世界最大のブロックチェーンアプリケーションになる可能性も

2019年2月にFacebookは、同社として初めて、ブロックチェーンのスタートアップを買収しています。このときに買収したのはチェーンスペース(Chainspace)という企業になりますが、技術目的ではなく、人材獲得のための買収であることが報じられています。この企業は10人程度のチームであったものの、Facebookがブロックチェーン領域に強い関心があることを示しています。

Facebookは、ユーザーのプライバシー管理について強い批判を受けています。特にその批判は、プライバシーやIDなどの情報を自身で管理できる世界を目指すブロックチェーン業界の人の間で顕著です。こういった現状はFacebook社でも認識されていることは間違いなく、2019年4月30日に行なわれた、開発者向け会議にて、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏の「プライバシーを重視する」という発言が何度も繰り返されたことが目立ちました。

Facebookの2018年度決算によると、、2018年第4四半期において、同社グループの4つのアプリ(Facebook、Instagram、Messenger、WhatsApp)のうち1つ以上を毎月使った人は27億人であるとしています。また、マーケットプレースやビデオのライブストリーミングなども注力領域で、それらとの統合も視野に入っているだろうと予想されます。

Libraのプロジェクトが実現すると、世界で最も使用されるブロックチェーンのアプリケーションになる可能性があると言えます。

【こんな記事も読まれています】
ブレイブ(Brave)のコピーブラウザがビットコイン(BTC)対応で登場
仮想通貨の開発を進めるFacebook(フェイスブック)が大規模な資金調達を予定
独自の仮想通貨の開発を進めるSNS最大手FacebookとVKの動きとは

参照
The Wall Street Journal
The Block
CryptoGlobe


d10n Labのリサーチコミュニティでは、ブロックチェーン業界の動向解説から、更に深いビジネス分析、技術解説、その他多くの考察やレポート配信を月に20本以上の頻度で行なっています。
コミュニティでは議論も行えるようにしており、ブロックチェーン領域に積極的な大企業・スタートアップ、個人の多くに利用頂いています。
▼d10n lab 未来を思考するための離合集散的コミュニティ
https://d10nlab.com

おすすめの記事