ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)の貸出を行うレンディングへの需要増

成長を続けるレンディング市場

暗号通貨の貸出・借入を提供する企業であるジェネシス・キャピタル(Genesis Capital)が、2019年第1四半期の期間のローンのスナップショットを公開しました。同社のサービスにおいて、貸出の顧客には利息を得たい人が、借入にはショート(空売り)やヘッジをしたい人が、それぞれ顧客となっています。

Genesis Capitalは、デジタル・カレンシー・グループ(Digital Currency Group)の傘下企業です。そして、ローンの市場の透明性のために、四半期ごとに同社で介して行なわれたレンディングを公開しています。

第1四半期のレンディングの様子
出典:Genesis Capital

発表によると、2018年には10億ドル(約1,100億円)のレンディングが実施され、アクティブなレンディングが1億5,300万ドル(約168億3,000万円)でした。2019年の第1四半期では、4億2,500万ドル(約467億5,000万円)の新規のレンディングを行い、末日の時点でのアクティブなレンディングは1億8,100万ドル(約199億1,000万円)になっています。

前年の四半期に比べ17%の向上を見せ、レンディング市場が大きく成長していることが分かります。同社の平均的なローンは6週間程度で返済され、アクティブと全体のバランスがこのようになるといいます。

暗号通貨を担保に貸出を希望する需要

Genesis Capitalは、2018年のQ4に、暗号通貨を担保に法定通貨を貸出しするサービスを始めています。この需要が大きく、現在ではアクティブなローンの10%を占めていると発表しました。これらはロングポジションをとりたいヘッジファンドや、バランスシートにある暗号通貨を売却しないで電気代を支払いたいマイナーなどに利用されているといいます。

大きくシェアを占めているローンはやはりビットコイン(BTC)であり、3月の末日時点で68%を占めています。他の通貨とすると、リップルで(XRP)で6.7%、ライトコイン(LTC)が3.6%になるといいます。

また、下記はイーサリアム(ETH)の貸出残高と、価格の相関を表した図です。

イーサリアムのレンディング推移
出典:Genesis Capital

ETHの価格が上がるにつれ、ローン残高が減る関係が見られ、レンディングマーケットと価格の関係が見られるグラフになっています。BTC以外の暗号通貨の貸出に関しては、ほとんど全てがショートに対する需要であるといってよいでしょう。

しかし、主にBTCの借入において興味深い点ですが、ショートをしている人は少数派であり、なにかしらのヘッジで利用している場合であると同社のブログでは述べています。

また、Genesis Capitalのレンディングサービスに関する批判として、暗号通貨をショートできる商品を提供することに対し、「業界のために仕事をしないノーコイナーなどとしばしば呼ばれることがあるが、それは間違いだ」と書かれています。ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)やジェームズ・ダイモン(James Dimon)など、メディアで暗号通貨を批判する資産家もショートポジションは取っていません。そもそもショートポジションを取れる人は暗号通貨に強い関心を持つ人であると反論しています。

こういったヘッジ市場やショート市場は、市場が成熟に際して確実に必要なトレードインフラであるといえます。

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参照
Genesis Capital


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