仮想通貨の主要取引所に広がる困難、強気相場に影響か?

市場調査関係者によると、ビットコイン(BTC)など仮想通貨の強気相場が続いているにもかかわらず、一部の主要な仮想通貨取引所に困難な状況が広がっており、これが仮想通貨の価格にも影響を及ぼしかねないと懸念されています。

ビットフィネックス(Bitfinex)やビットメックス(BitMEX)、バイナンス(Binance)、クラーケン(Kraken)など、世界の取引プラットフォームで起きている資本の逃避や不正アクセスなどによる流出が、ビットコイン市場に現れ始めている収支赤字の要因になろうとしています。一方、ビットコインの価格は、年初以来125%も上昇した結果、トレーダーやアナリストの中に、リトレースメント(綾戻し)が近いとの予測が出始めています。

ビットコイン(BTC)高騰の中で多額の引き出しが続出

5月16日のブルームバーグ(Bloomberg)の報道によると、トレーダーは一斉に取引所に駆け込み、大量のビットコインを引き出しているそうです。ロンドンのブロックチェーンデータプラットフォームであるトークンアナリスト(TokenAnalyst)は、クラーケン、バイナンス、ビットフィネックスなど大手取引所からの引き出し額は、この7日足らずで6億2,200万ドル(約684億円)を上回りました。

コメンテーターやトレーダーは、テザー(Tether/USDT)の流動性についても懸念を表明しています。と言うのも、ビットフィネックスとテザーが約8億5000万ドル(約950億円)の損失を隠しているとの事実が発覚したからです。

テザーとビットフィネックスのフェイクマネー投入による市場かく乱

テキサス大学のジョン・グリフィン教授(金融学)は、ビットフィネックスとテザーの件について次のように説明しています。

「Tetherは十分に支援されていなかった。取引所で顧客の資産を守る準備金も同様に不十分だった。このため賢明な顧客は、資金を取引所に保管せず、引き出そうとする。(ビットフィネックスとテザーのように)フェイクマネーを市場に投入、ビットコインと交換しようとしたように、ビットコイン価格のさらなる上昇圧力をもたらした」

ビットフィネックスとテザーの最高経営責任者(CEO)は、同一人物のフィル・ポッター(Phil Potter)氏であることは良く知られており、フェイクマネー疑惑で2018年6月末辞任を表明しましが、法廷に持ち込まれたこの問題はいまだに決着していません。ビットフィネックスでは、市場操作でニューヨーク州司法長官から告訴されてから、約17億ドル相当のビットコインが引き出されています。

利確売り圧力が強まればリトレースメントも

市場からの資本流出現象は、ビットコイン価格の反転下落を招きます。事態をさらに悪化させるのは、売り圧力の高まりです。その結果として、BTC価格のリトレースメント(綾戻し)が起きて、長期的に相場の下落基調が確実になるという最悪の事態を招きます。複数のアナリストの動向分析によると、5月に起きたビットコイン価格の急騰は、維持するには余りにも急カーブ過ぎるようです。

より多くのトレーダーが、手持ちのBTCを8,000ドル(約88万円)水準で利確のため売りに走れば、18年11月中旬の水準と同様の大きな下落相場への移行の引き金になりかねません。一部の予想によると、BTCは5,500ドル(約60万6,000円)あるいは4,500ドル(約50万円)まで下落する可能性があります。

BTCの価格は、19年1月初めから125%上昇、5月だけで2000ドル(約22万円)余り上昇しました。時価総額はこの間、1,400億ドル(約15兆4,000億円)まで増加し、仮想通貨全体のそれもほぼ2,500億ドル(約27兆5,000億円)と、あっという間に7兆円余りを市場に付加しました。市場の先行きに対する関心は一段と高まっており、ビットコイン市場の動向には、当分目を離せません。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

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参考
BLOCKONOMI

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