- 今後のBTC相場:一時的なビットコインの価格調整か
- 仮想通貨格付け機関Weiss Ratingのアナリストなど、海外の専門家がビットコイン高騰後の調整局面で、強力な揺り戻しを予想している。過去の相場を教訓に、今後の相場展望を考察した。
複数専門家が示唆するビットコインの価格調整
仮想通貨格付けを行う調査企業Weiss Ratings社の仮想通貨投資アナリストが、今後ビットコインのプルバック(相場の戻し)が訪れるという分析結果を明かした。
ビットコインの過去トレンドを振り返りながら今後の相場を展望した。
仮想通貨の格付けなどで定評のあるWeiss Ratings社のJuan Villaverde氏によれば、直近2ヶ月ほどで高騰したビットコインで、今後大幅な価格調整が入り得ると予想。その理由として、本格的な大相場が始まる前には必ずと言っていいほど強力な調整が入ってきた歴史を挙げた。
過去にも見られたBTC上昇前の価格調整
仮想通貨に限らず、中・長期的な上昇トレンドにおける大きめのプルバックはどの金融市場でも起こり得る。Villaverde氏は2012年上旬の値動きを紹介した。
2011年11月に2ドル付近で推移していたBTC価格は、その2ヶ月には7ドルまで(約770円)高騰。上げすぎた反動で-45%の大幅反落を見せた。しかし、その後2013年末にかけて、1100ドル(約13万円)まで高騰を続けた。
また2015年にも、8月後半に200ドル(約2.2万円)付近まで下落、低迷していたビットコインだが、同年11月上旬には時500ドルを突破。その後2週間で-40%の暴落を記録している。
しかし、同年12月には再び400ドル(約4.4万円)に復帰したBTC価格は、勢いそのままに2017年末の仮想通貨バブルが弾けるまで大幅上昇で続伸したことになる。
ビットコインの今後の長期的な上昇を支える要因としてVillaverde氏は、以下の項目も挙げている。
ビットコインの出来高が過去最高水準に接近
ビットコインのトランザクション手数料の低下
2017年末には、仮想通貨市場に対する過剰な投機需要によりトランザクションが詰まる状態が多発したが、2018年1月以降に継続したいわゆる「仮想通貨の冬」の間、ビットコインにおいてSegWitやライトニングネットワークなど取引の効率化を可能にした進展があった点を指摘。
今年4月にビットコイン価格が高騰したことで出来高が急増した際にも、トランザクション詰まりがなかった点を高く評価したほか、トランザクション手数料も2017年末ほど高騰していない点も改善したと述べ、今後のビットコインにとってポジティブな動きだと評価した。
その他専門家の意見
このように、ビットコインに対してポジティブな見解を示すVillaverde氏だが、同様に一時的な価格調整の後に、再び2017年の最高価格を目指し上昇を続けると見る専門家も少なくない。
米仮想通貨投資運用ファンドAdamant Capital社の投資アナリストTuur Demeester氏も、同じように価格調整が入ることを展望する。ビットコインにおいて既に2度起きている半減期を節目にトレンドを形成していると説明しており、ビットコインは再び一時的な「アキュミュレーション」(買い集め)期間に突入するだろうと予想した。
Halvening centric perspective on Bitcoin price. H/T @StoicTrader_ & @MLescrauwaet pic.twitter.com/89trRlSOqd
— Tuur Demeester (@TuurDemeester) 2019年5月16日
人気仮想通貨アナリストのJosh Rager氏は、今後ビットコインが最高価格を更新するまで複数回に渡って30%以上の大幅調整が見られると予想していた。
$BTC 30%+ pullback coming?
— Josh Rager (@Josh_Rager) 2019年5月22日
Yes, eventually. If history repeats, there should be plenty of strong pullbacks on the way to next peak ATH
There were at least nine 30%+ pullbacks from last cycle accumulation & uptrend
Plenty of buying opportunities ahead, don't let it shake you pic.twitter.com/fMnhKzlpA8
2017年バブル相場時と異なる動き
このような過去相場からのトレンドとビットコインネットワークの普及に加え、さらに2017年相場とのもう一つの大きな違いとして挙げられるのは「大手企業における仮想通貨決済の普及」だろう。
仮想通貨市場の下落に伴い、2017年大きな波紋を読んだICOプロジェクトの多くが淘汰されていった。実際ビットコイン価格もピーク時から最大で80%以上も下落を続け、苦しい状況が長く続いていた。
しかし「仮想通貨の冬」のメリットとして1つ挙げられるとすれば、業界全体が仮想通貨市場の投機的な側面から、プロジェクト毎の実際利用や開発に焦点を起き始めた点がある。
スターバックスやバスキン・ロビンスなど、米国の大手企業15社が仮想通貨での決済受け入れを開始したニュースを筆頭に、5月に入り、世界的IT大手のマイクロソフトがビットコインネットワーク上でデジタルIDを管理するプラットフォーム開発を公表した点や、米国の最大手通信企業AT&Tがビットコインで請求書の支払い受け入れを開始したことも材料視されている。
中・長期上昇トレンドの押し目である限り、この後仮に短期間で大規模な価格調整が起きたとしても、絶好の買い場となる可能性が高いものと考えられる。
最重要ファンダ、ビットコイン半減期
このような企業系における進展に加え、ビットコインのマイニング報酬が半分となる「半減期」がおよそ1年以内に迫っていることもビットコインへの注目を高めると専門家の内では予測されている。一般的に過去2012年と2016年に発生したビットコインの半減期の前後1年の2年間では、需給の観点から全面的な上昇が見られていた。
ビットコインの半減期を予想するカウントダウンサイト「BitcoinClock」では来年の5月20日が半減期の日程として表示されている。
こちらも、ビットコインへの投資を行う際に念頭に置いておきたい。
CoinPostの関連記事