
分散型金融のプロジェクトのアーキテクチャ
DeFi(分散型金融)が話題に挙がるようになってから久しく、日本でもコミュニティが生まれ、活発に議論される機会が増えているように見えます。分散型金融において、この領域が生み出す価値は、金融機能のモジュール化であるという論考は下記2つのコラムで書きました。そのモジュールを使用するアプリケーション層の関係について理解ができるでしょう。
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さて、そのうえで分散型金融という言葉を考えるとすると、多くのビジネスアプリケーションが使用をするモジュール(プロトコル)は、やはりある程度の透明性や分散性が求められることになります。
一方で、モジュールを利用するアプリケーションレイヤーそのものに分散性は求められないでしょう。
プロトコルは、どれだけ分散化しているか
今回のコラムでは、分散型金融の各プロトコル(モジュール・ミドルウェア)が、どの程度分散化しているかを取り上げます。ここは分散型マージントレードプロトコルであるビーゼロエックス(bZx)の開発ブログを引用します。
bZxは、分散型金融の各プロジェクトの分散性を下記のように分析しています。
分散性レベル | 概要 | プロジェクト例 |
---|---|---|
集権型 | 集権型カストディ、プライスフィードを使う普通の株式会社のサービス |
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DeFiレベル1 | ノンカストディでユーザーが秘密鍵を管理するが、プライスフィードは集権型、利息などのアルゴリズムは不透明のプロジェクト |
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DeFiレベル2 | ノンカストディでユーザーが秘密鍵を管理し、プライスフィードや利息アルゴリズムなど何かしら一つの要素の透明性は高いが、他の要素は集権型になっているプロジェクト |
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DeFiレベル3 | ノンカストディでユーザーが秘密鍵を管理し、マージンコールの決定などはパーミッションレスで誰でも参加できるが、プライスフィードや開発方針は集権的なプロジェクト |
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DeFiレベル4 | ノンカストディでユーザーが秘密鍵を管理し、マージンコールの決定などはパーミッションレスで誰でも参加でき、分散化したプライスフィードを使用するが、開発方針は集権的に決定するプロジェクト |
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DeFiレベル5 | ノンカストディでユーザーが秘密鍵を管理し、マージンコールの決定などはパーミッションレスで誰でも参加でき、分散化したプライスフィードを使用、開発方針もコミュニティでガバナンスを取るプロジェクト |
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DeFiレベル6 | 考えられる全ての要素が分散化、コミュニティによってガバナンスを得ようとしているプロジェクト |
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レベルが上がるほどプロトコルの性質が強くなっていきます。MakerDAOやCompoundなど頻繁に話題にあがる分散型金融のプロジェクトも、まだ分散性は部分的であることが分かります。
一概には言えませんが、それぞれのDeFiプロトコルは、アダプションのスピードを落とさず、このレベルを上げていくのが順当であると言えるでしょう。
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参考
・Medium
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