「シリコンバレー全盛期は間もなく終わり」とPayPal共同創業者、次はブロックチェーン含む新規領域

PayPalの共同創業者で著名投資家のピーター・ティール(Peter Thiel)氏は、10月に行われたNew York Times DealBook conferenceで、「シリコンバレーの全盛期は間も無く終わりを迎える」とコメントをしました。

参照:fortune

ティール氏はシリコンバレー企業について、クラウドを賢く使ってるのではなく、クラウドに依存しすぎてると同インタビューで指摘しました。コンシュマーインターネット自体もその成長は踊り場ともコメントしており、ティール氏は、Next Big Thingとして、バイオ、暗号通貨・ブロックチェーン、大麻に投資しています。

投資テーマはインターネットからブロックチェーン含む新規領域へ

同氏が創業をしたPalantir Technologiesは、銀行や政府などを顧客にするクリティカルなエリアのサイバーセキュリティ企業です。ティール氏の公表されている投資履歴を振り返ると、これらのテーマに投資は5年ほど前から特にさかんになっています。

また彼は、今年にシリコンバレーエリアからロサンゼルスへ移住したことを発表しています。コンシュマーインターネットが彼にとって魅力的な投資テーマになっていないのはしばらく前からであり、その姿勢をさらに明確化させたのが今年からということになります。

コンシュマーインターネットとは、言い換えればスマートフォンというイノベーションです。過去10余年で、人類の最も大きいイノベーションはスマートフォンであり、このデバイスによって、インターネットは初めて本当の意味でコンシュマー向けのツールになり、常時接続によって人々の行動様式を大きく変えてきました。

しかし、今年に入りスマートフォンの世界出荷数の伸びは止まり、スマートフォンの出荷成長率は対ゼロ年比成長です。

つまり、スマートフォンの出荷率が毎年二桁成長をしていた数年と同じビジネス環境・投資環境では全くなくなっているということです。故に、企業・投資家は、コンシュマーインターネット以外の新しい分野の開拓をしなくてはならないということに迫られていると言えます。

大手ファンドの暗号通貨・ブロックチェーン業界などへの投資

暗号通貨・ブロックチェーン業界において巨大な影響力を持つa16zなどのファンドが、「Next 10 years」と言い、新規領域に大きく投資をするのも同じ理由です。

彼らは、$300M(約338億円)のブロックチェーン専門のファンドを持っており、バイオ専門のファンドも組成しています。a16zのブロックチェーン専門のファンドの組成については、下記の筆者のブログで解説しています。

参考:シリコンバレーで最も影響力の大きい暗号通貨ファンドの投資スタイルと、影響力を強めるCoinbaseマフィア

a16zは、Coinbase(コインベース)の初期に出資、その後に同ファンドと強調し、影響力を高めている経緯があります。

参考:米国最大の取引所coinbaseが業界に与える影響。UBERとAirbnb以降に最も成功したアメリカのスタートアップはどのような成長をしたか。

バイオは医療を大きく変えるポテンシャル、大麻は北米とヨーロッパで解禁が始まっていて嗜好品・医療品として大きく普及するポテンシャル、暗号通貨・ブロックチェーンにはインターネットにおけるユーザー行動やアーキテクチャを大きく変えるポテンシャルがあります。

ブロックチェーン自体が、次の10年でNext Big Thingであるのかは、これから検証されることになります。もちろん筆者もその未来を信じ、そこをベットする一人です。

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