Facebookのステーブルコイン(Stablecoin)であるリブラ(Libra)について関心が高まっています。Libraは複数の企業が運営するコンソーシアムブロックチェーンで、複数の法定通貨がバスケットになったステーブルコインを発行するプロジェクトです。
関心高まるFacebookのステーブルコイン
Facebookグループでは、Facebook・WhatsApp・メッセンジャー・Instagramの4つのプラットフォームで合計22億人のアクティブユーザーが存在し、それら全てが潜在ユーザーです。また、コンソーシアムに含まれるメンバー企業も影響力の大きい企業ばかりで、この関心の高まりは当然であるともいえます。
Libraによってどのようなことが起こるか、米フォーブス紙の記者が6つの予測を纏めています。(参照)
本コラムでは、同予想を意訳して解説をします。
Facebookのステーブルコインをめぐる6つの予測
途上国や新興国での活用
Facebookのステーブルコインは途上国や新興国で活発に使用されるでしょう。途上国や新興国では送金インフラが満足にない国がまだまだあります。しかし、そんな国でも多くの人が使っているアプリケーションが、WhatsAppやメッセンジャーなどのテキストメッセージサービスです。これを利用して送金ができるようになると、新興国の送金アプリとしてトラクションが高まるはずです。
銀行の再定義
Facebookのステーブルコインホルダーに金利を出すとしたら、アメリカの銀行規制に影響を与える可能性があります。これは銀行の再定義です。なぜならアメリカでは事業会社が銀行を運営できないからです。しかしFacebookのステーブルコインホルダーに金利を出すことがもしできた場合、それはもはや新しい時代の銀行であると言って良いでしょう。
法定通貨のバスケット
Facebookのステーブルコインは、ドルのみをリザーブするものではなく、さまざまな通貨のバスケットです。これは主要株式のバスケットS&Pのように大きな影響力を将来持つ可能性があります。このFacebookのステーブルコインに入っている割合で、通貨の評価が計れるかもしれません。
規制当局と壁にぶつかる可能性
一方でFaceebookは銀行ライセンスなどは持っておらず、規制当局と揉める可能性はあるでしょう。
情報管理の複雑性
監督された取引所などが暗号通貨を販売する場合、事業者はKYC(顧客確認)を満たす必要があります。これをFacebookが行う場合、KYC情報を取得することと、昨今のプライバシーの問題でユーザー情報を取得しすぎているという2つの観点が混ざり複雑性が高まることが予想されます。
暗号通貨業界全体にとっての影響
このステーブルコインが拡大することは、新規の暗号通貨ユーザーを呼び込み、ビットコインにとってもプラスであると予想しています。Facebookグループのほとんどのユーザーは、暗号通貨をこれまで保有していなかった人たちです。これらが今後、この市場にアクセスしやすくなることを意味します。
まとめ
いかがだったでしょうか。同プロジェクトについては間もなくホワイトペーパーがリリースします。引き続き注目される分野であり、今後の展開に筆者も高い関心があります。
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参考
・Forbes
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