「請願」の制度使い、仮想通貨制度に関する要求提出
藤巻議員は、国民が国政に対する要望を直接国会に述べることのできる制度を利用し、通常国会会期末に仮想通貨税制改正に関する要求を提出した。売買益の総合課税55%の税率から分離課税による20%への引き下げ等を要求したもの。

仮想通貨税制改正に関する請願書を提出

通常国会の会末を前にして、仮想通貨税制改正に関する請願書が衆議院議長および参議院議長に提出されていたことが、国会にて仮想通貨の税制改革を積極的に推進する参議院議員、藤巻健史氏のSNSにより明らかになった。

請願書とは、「憲法に保障された国民の権利に基き」、議員の紹介によって各議院の議長あてに提出する請願のことだ(参議院HPより)。民主主義の名の下に国民が立法に参与する権利を行使する機会と言える。

今回の請願書は仮想通貨(暗号資産)をめぐる税制に基づくものであり、藤巻議員を紹介者として提出されている。原文では以下の4点が論点となっている。

  • 一 仮想通貨の売買益を最高税率55%の総合課税から20%の分離課税へ変更すること
  • 二 仮想通貨売買損の繰越控除を可能にすること
  • 三 仮想通貨の売買を非課税にすること
  • 四 店頭などでの仮想通貨の少額決済を非課税にすること

以前より仮想通貨は国税当局は、「消費税上ならびに資金決済法上、『暗号資産は支払い手段』と定義されているから」譲渡所得ではなく雑所得であるとの見解を示していた。

請願書提出者の主たる主張は、仮想通貨は譲渡所得に当たるため20%の分離課税にするべきだという点だ。仮想通貨は支払い手段としての側面、株式・投資信託・FXなどの金融商品としての側面、独立した通貨としての側面など多面的であるため、その解釈を巡り度々議論が起こってきた。

今回提出された請願書は、結果として採択はされなかったのだが、一方で藤巻議員は今回の一連の流れの意義を次の様に明かす。

参議院財政金融委員会で他会派の同意を得られず採択はされませんでしたが、我々の強い要望を政府に示す効果はあったと思っています。

同氏が言うように、今回の最大の意義は議員ではなく国民から請願書が提出されたという点である。

請願書では、仮想通貨の認知度や関心が高まるにつれ、それに伴った法整備の必要があることが、エンドユーザーである国民のニーズを元に主張されているという点、さらには請願書が「国民の意見である」ため立法者は無視できないという点から重要な一歩となると言えるだろう。

藤巻議員に関しては、今年5月末に財政金融委員会で、同氏が金融庁や国税庁に対し「暗号資産ETF」に関して質問を繰り広げたことが記憶に新しい。

2019年の通常国会は6月26日に閉会。7月4日には参議院選挙の公示が行われ藤巻議員も日本維新の会より出馬の予定だ。

国会は当面休会となるが、今後もこの話題からは目が離せない。

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