
交通費を安く抑えたい人やガソリン代を抑えたい人、車をエコに使いたい方や少しでもスムーズに目的地へ移動したい方などに人気を集めているのがライドシェア(相乗り)です。
現代のライドシェア(相乗り)事情について、便利なサービスなどとともに見ていきましょう。
ライドシェア(相乗り)とは?
ライドシェアというとピンとこない方もいるかもしれません。
ですが、相乗りと聞けば、昔はよくやっていたと懐かしく感じるシニア世代は多いはずです。
車を保有している人もまだ少なく、地下鉄やバスなどの便利な交通手段などがまだあまり発達していなかった時代には料金の高いタクシーに相乗りをしたり、なかなか来ない路線バスをバス停で待っている人を、通りすがった見ず知らずのドライバーが声をかけて乗せてあげたりしたものです。
もっとも、多くの家庭で1家に1台、2台といったマイカーを保有するようになり、公共交通も便利になり、知らない人の車に乗ることに対して安全面でも不安が出てきた時代には相乗りという言葉もあまり聞かれなくなってきました。
ですが、ここにきてまたライドシェアという呼び名で現代版相乗りとして見直されてきたのです。
朝の通勤時間帯など天候が悪かったりすると多くの方が家族を送りに車を駅まで出し交通渋滞が発生したりします。
同じ目的地や同じ方向に行くのであれば、近所で声をかけあったり、駅に向かうバスを待っている人に声をかけて乗せていけばいいのにと思ったりしたことはありませんか。
もっとも、ご近所関係が薄れ、不安な事件なども増えている中で知らない人の車に乗ったり、知らない人を乗せたりは不安もあることでしょう。
そこで、会員サービスやアプリを使ってお互いの信頼度を確認しながら、同じ時間帯に同じ方向や目的地に移動したい人たちをマッチングしようというのが今どきのライドシェア(相乗り)という考え方です。
カーシェアリングとの違い
この点、近年人気を集めているシェアリングサービスの中には、ライドシェア(相乗り)と同じく車を利用した方法としてカーシェアリングがあります。
カーシェアリングは1台の車や複数台の車を仲間同士やサービスを利用する会員同士でシェアして保有コストや維持コストを抑えながら、それぞれが必要に応じて利用するというものです。
一緒に移動するのではなく、それぞれの目的で事前に予約して1人ずつ利用します。
つまり、1台の車ごとに誰かが使っているときは、他のメンバーは使えません。
これに対してライドシェアは、誰かが運転する車に同乗して一緒に同じ方向へと移動したり、1台のタクシーに同じ方向へと向かう人同士で一緒に乗ったりすることを意味します。
カーシェアリングは運転免許を持っていないと利用できない一方、相乗りをする場合はドライバーでない限り、運転免許を持たない方も利用できるということです。
いずれの方法も車の維持コストや交通費などを抑えたい方に選ばれているほか、車の台数を減らして少しでも渋滞を減らしたい、排気ガスの排出量を抑えて地球温暖化防止に貢献したいといったエコ意識の強い方にも人気です。
ライドシェアのタイプとは
ライドシェアには大きく2種類あります。
1つは同じ方向や目的地に向かう人たち同士が集まって、プロのドライバーが運転するタクシーに相乗りする方法です。
もう1つは、一般個人のマイカーに相乗りをするタイプです。
後者は昔からある相乗りといった形ですが、車を走らせている人が車道でバスを待っていたり、タクシーを捕まえようとしているのを好意で乗せたり、ヒッチハイクをするのとは少し異なっています。
違いや特徴を詳しくみていきましょう。
配車型ライドシェア
タクシーの相乗りは専用のサービスを使うことで、同じ目的地に行きたい人が集まってタクシーを手配したり、それぞれが待っている位置までタクシーが順番に迎えに来てくれたりするため配車型ライドシェアと呼ばれてます。
タクシー代金は乗車距離で分割したり、人数で割り勘したりする仕組みで、アプリ上で簡単に公平な料金を計算できる機能なども用意されているのも便利です。
有名なサービスをいくつかご紹介します。
「タクシーシェアアプリ AINORY」
会員になると出発地と目的地を設定して相乗り相手の募集ができるアプリです。
出発地から目的地までのルートがアプリ上に表示されて、その地図上に相乗り候補がいるおよその位置が表示されます。
タイマーが設定されており、一定の時間内に相乗りが成立しないと募集はリセットされます。
相乗り候補が現れると乗車運賃がどのくらい安くなるかやその人を乗せて走らせることで乗車時間がどれくらい増えるかを確認できるのが便利です。
相乗り候補は同じ方向かつ相乗りによる割引額が大きい順番で表示され、候補者をお互いに承認し合う仕組みになっています。
現在位置と相乗り候補をピックアップするのにかかる時間やその人を先に送ることで増える乗車時間や距離などが分かるほか、候補者のプロフィールや利用履歴のサマリー、コメントも確認できるので不安がある人を排除したり、同性だけを承認したり、話が合いそうな同じ年代の人を絞り込むことも可能です。
相乗りメンバーは4人を限度に、お互いが承認し合って初めて成立します。
「タクシー相乗り支援サービス 相乗り屋.net」
タクシー乗り場で並んでいるときでも、同じ方向へ向かう人を気軽に見つけられるアプリです。
会員のプロフィールはFacebookのアカウントと連携しており、相乗り候補がどんな人なのかを事前にチェックできます。
相乗り相手を募集するにあたって、性別や年齢の条件も設定できるので、異性との相乗りは不安がある方や年代が離れていると利用しにくいという方も安心です。
「オンデマンド通勤シャトル」
三菱地所とMONET Technologiesが手掛ける東京・丸の内エリアに勤務する人を勤務地付近まで送迎するサービスで、2019年2月26日(火)~3月22日(金)まで実証実験が行われた後、正式にサービスがリリースされる予定です。
プロのドライバーの運転で、スマホアプリで選択した場所から勤務地近くまで送迎するサービスです。
ビジネスパーソン向けにはトヨタのアルファード2台が用意され、朝の通勤時間帯の朝6:30~9:30と帰宅時間帯の夜17:45~20:30まで運行されます。
送迎エリアは吉祥寺、豊洲、川崎、上野、等々力、赤坂エリアから、丸の内エリア大手町・丸の内・有楽町エリアのオフィスの往来となり、アプリで申しこんだ人同士で相乗りをする仕組みです。
ワーキングパパ・ママ向けとして車内にチャイルドシートや絵本が用意されたトヨタのエスクァイア 1台も同じ時間帯で運行します。
丸の内を中心に半径3km圏内にある保育施設の利用者が子供連れで相乗りする仕組みで、朝食代わりやおやつ代わりの軽食の販売なども行われます。
検証結果を踏まえて、通勤だけでなく、商業施設や空港への移動へとサービスを拡大していく予定です。
カープール(相乗り)型ライドシェア
タクシーではなく、一般個人が運転するマイカーに相乗りする方法はカープール(相乗り)型ライドシェアと呼ばれたりします。
事前に会員登録をしたサービスで、同じスケジュールで同じ方向へと移動するドライバーと同乗したい人をマッチングさせるもので、事前に約束しての好意乗車やヒッチハイクのような形です。
料金を請求してしまうと白タクとして法律違反になってしまうため、無償か実費を割り勘というのが基本です。
乗車でかかるガソリン代や高速料金などを利用した人数で分割して負担するので、ドライバーも相乗り者も低コストでの移動が実現します。
有名なサービスをいくつかご紹介します。
「ライドシェアサービスnotteco」
低コストで移動したい人とガソリン代などを節約したいドライバーをマッチングさせるサービスで、日本最大級の長距離ライドシェアアプリとして人気を集めています。
2007年にサービスを開始して以来、40,000人以上の会員が登録しており、同乗させていいよというドライバーから年間7,000ドライブの登録があります。
目的地やスケジュールなどから同じ方向へ向かうドライバーを探すことができ、帰省やイベント、旅行などにも活用が可能です。
実費の分担でドライバーも相乗り者も格安で移動ができ、会員の中には相乗りを利用するようになって年間100万円以上を節約した方もいるというから驚きです。
同じイベントに行く人などと乗り合わせれば、話も盛り上がって長いドライブも楽しく過ごせます。
「相乗りコミュニティCREW(クルー)」
ドライバーとして登録するには免許証や自賠責保険、車検の登録および自動車保険の加入のチェックを行い、実際に運用スタッフによる電話もしくは面談による審査を通過しなくてはなりません。
そのため、安全運転かつ信頼の人物の車に相乗りできるので、初対面でも安心です。
ドライバーと相乗り者が相互評価をするシステムも用意され、低評価が多い会員や利用規約や交通規則に反した場合には利用の停止などの措置も講じられます。
連絡先など個人情報の交換も必要なく、安心して相乗りがし合えるサービスです。
「相乗りアプリ ノリーナ nori-na」
ワールドビジネスサテライトや日経新聞でも取り上げられ、6万ダウンロードを突破した、ドライバーと相乗り者を自動でマッチングさせるアプリです。
出発地と目的地や日時を登録すると自動でマッチングをしてくれます。
クレジットカードで割り勘代を決済して利用するというシステムです。
安心できるライドシェアアプリを使ってお得に移動
同じ日時や時間帯に同じ目的地や同じ方向へ移動したいというときに、昔ながらの相乗りを現代社会でもスムーズに実現してくれるのがライドシェアアプリです。
知らない人と一緒に乗るのは不安という方もアプリの活用で、安心の同乗者を見つけることが可能です。