
開発者向けツールのトリュフ(Truffle)が、シアトルで8月2日から4日まで行われた同社のイベント「TruffleCon」で新しいブロックチェーン3つに対応をすることを発表しました。
トリュフ(Truffle)とは?
Truffleは、これまでイーサリアム(Ethereum)の開発フレームワークと機能していましたが、イーサリアムだけに留まらない、多様なブロックチェーンの開発フレームワークを提供することになります。コントラクトコードのコンパイルやデプロイ、アドレス管理などを行える開発環境供します。DApps開発やイーサリアムの学習を一度でもしたことがある人にとってはお馴染みのツールです。
同社のティム・コールター(Tim Coulter)最高経営責任者(CEO)によると、今後、同社はエンタープライズブロックチェーンにフォーカスをするとしており、新しいブロックチェーン3つは、コーダ(Corda)とハイパーレジャー(Hyperledger)、テゾス(Tezos)です。
これからエンタープライズブロックチェーンに注力
エンタープライズにフォーカスするならば、CordaとHyperledger Fabricについては、違和感はないでしょう。CordaはR3が推進するDLTで、最近ではスイス証券取引所が、パブリックブロックチェーンで発行したセキュリティートークンをコンソーシアムブロックチェーン内で取引するような実装の発表を行っているほか、実証実験に活用する事例が増えています。(参照)
一方、Hyperledger Fabricは、IBMが推進するコンソーシアムブロックチェーンのフレームワークです。こちらも実証実験事例が数多くありますが、実運用の事例としては、海上保険に適用させたトレードレンズ(TradeLens)などが良い事例でしょう。
Tezosについては、パブリックブロックチェーンとして公開されており、企業向けのブロックチェーンとすると違和感を感じる人も多いかも知れないですが、同ブロックチェーンでは最近、セキュリティートークンの発行事例が増えています。
最も大きい事例では、BTGパクチュアル(BTG Pactual)というブラジルの投資銀行が不動産を証券化した最大10億ドル(約1,060億円)規模ののトークンをTezosのブロックチェーンで発行することを発表しています。
Tezosについてはこちらレポートのが詳しいです。
パブリックとコンソーシアムの相互運用がしやすく
またTruffleの今回の発表は、パブリックとコンソーシアムの相互運用がしやすくなることも期待されるという点で、今後のブロックチェーン業界にもたらす影響は大きいでしょう。
Truffleが新しいブロックチェーンに対応したことによって、コンソーシアムチェーンの開発環境が、パブリックブロックチェーンの近しい開発環境になることを意味します。上述したように、Truffleはメジャーなブロックチェーン開発者ツールであり、そのダウンロード数は340万以上で、その開発環境を併用できるようになります。
本コラムで事例にあげたあげたスイス証券取引所の事例は、パブリックとコンソーシアムの相互運用です。企業のブロックチェーンの活用がどのように進行しているかは詳しく知る人は多くないですが、下記のレポートで一部解説しています。
関連:既存産業でブロックチェーンを活用するにあたりクリアされるべき5つのハードル。及びそれらはどのように解決されるか
コンセンシス(ConsenSys)からスピンオフしたTruffleは、引き続きメインステークホルダーをConsenSysとしながらも独立企業になっています。今回のアップデートによって、近しい開発フレームワーク得たコンソーシアムとパブリックのブロックチェーンは、相互運用をさらに進めることになるでしょう。
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