

- 米国議会調査局がエネルギー部門でのブロックチェーン活用可能性を報告
- 米国議会調査局は、国家エネルギー部門でのブロックチェーンの潜在的な用途を詳述した報告書を発表。エネルギーシステムでのブロックチェーン統合やマイニングのエネルギー消費の現状、マイニング規制への見解を示した。
米国議会調査局がエネルギー部門でのブロックチェーン活用可能性を報告
米国議会調査局は、国家エネルギー部門でのブロックチェーンの潜在的な用途を詳述した報告書を発表した。
エネルギーの供給システムにおけるブロックチェーンの統合、国内外におけるマイニングのエネルギー消費の現状やマイニングに対する規制を検討する内容となっている。
エネルギーシステムについては、ブロックチェーンを利用して公共料金請求トランザクションをスマートグリッド(次世代送電網)に配置することや、電気自動車の充電インフラの構築などが報告書内で言及されている。
また、垂直統合(企業が商品の開発・生産・販売を自社で一手に行うこと)されている従来の電気事業がブロックチェーンによって分散化されることで、エネルギー市場での消費者の選択肢を増やすことに繋がるという。その例として、隣人の太陽光パネルで生産された余分な電力の購入が可能になることなどを挙げている。
そのようにエネルギーの供給元の選択肢の増加に加えて、エネルギーシステムの分散化は、業界の透明性や効率性の向上や、エネルギー生産者間の競争の強化などにも繋がる可能性があると指摘している。
米国エネルギー省は今年4月に、大学によるエネルギー部門のブロックチェーンの使用事例の研究開発に対して480万ドル(約5.3億円)の資金援助を発表しており、ブロックチェーン活用に意欲的な姿勢をみせている。
マイニングのエネルギー消費問題にも言及
同報告書内では、マイニングのエネルギー消費問題についても言及しているが、それについては「一時的な問題」な可能性があると、楽観的とも取れる見解を示した。
気候変動や地球温暖化などをテーマに扱う科学誌「Nature Climate Change」で、「ビットコインの使用に関連するエネルギー消費は、30年以内に世界平均で摂氏2度の増加をもたらすのに十分なCO2排出を潜在的に生み出す可能性がある」と指摘されていたが、それに対して報告書内で次のような反論をしている。
エネルギー消費による持続可能性の懸念は見当違いであり、マイニングの競争力は最も効率の高いマイニングハードウェアをもち、電力コストが最も低いマイナーだけが長期にわたって存続することを意味すると主張する人もいる。」
また、「報酬のインセンティブが新しいビットコインの採掘から取引手数料による収益の獲得に移行するにつれて、エネルギー需要が減少する可能性もある」との意見も主張した。
そしてマイニング規制については、議会は「技術のエネルギー強度を抑えるための」統一法案を可決する可能性があると言及。また、自発的なエネルギー効率基準を業界に求める可能性があることを報告書内で述べた。
今回の報告書からは、エネルギー分野でのブロックチェーン活用に本腰を入れ始めた様子が伺える。