消費税増税の前と後、住宅を購入するタイミングとは

この記事をご覧の皆さんの中には、消費税増税の前と後では、どちらのタイミングで住宅を購入すればいいのか、という疑問を抱いている人もいるのではないでしょうか。

一般的に考えれば、消費税増税の前に住宅を購入してしまうほうがお得であるというイメージがありますが、必ずしもそうではない可能性が考えられます。

そこで今回は、消費税増税と住宅の購入のタイミングについて説明します。

現在の住宅ローン減税制度とは

「住宅ローン減税制度」とは、住宅の購入や、増改築などを行う場合に住宅ローンを利用して資金の借り入れをしている場合、特定の期間中はローン残高に応じた金額が所得税から差し引かれる制度のことです。

住宅ローン減税制度を利用するための条件は以下のようなものがあります。

  1. 居住用の不動産取得
  2. 控除を受ける年の合計所得金額が3000万円以下
  3. 床面積が50平米以上であること
  4. 耐震性能を有していること(特に中古住宅購入の場合は注意が必要)
  5. 借入金の償還期間が10年以上
  6. 利用目的が増改築などの場合は、工事にかかる費用が100万円以上

また、控除される具体的な金額は、以下の例を挙げておくのでご覧ください。

(例)3000万円の一般住宅を10年借入で購入し、借入金年末残高が3000万円の場合、

借入金額の年末残高の1%が控除されることになるため今回の場合であれば年末残高が3000万円なので、その1%の30万円が控除されます。

ただし、控除額30万円が還付されるためには、それ以上の所得税を支払っている必要があり、また、年度の合計所得金額が3000万円以上の場合には控除を受けることはできません。

その上今回の例でいえば、1年目の控除額が30万円であっても、ローンの返済をしていけば各年度の年末残高が減っていき、また、ローンの返済額が年度ごとに異ならないかも関係してくることもあり、その上金利も関係してくるため、総控除額の計算は30万円×10年で300万円という単純な結果にはならないので注意が必要です。

2019年度の税制改正による変更点

2019年度の税制改正による変更点にはどのようなものがあるのか、具体的には以下のようになっています。

増税後の住宅購入のみ特例措置が適用

2019年度の税制改正による変更点の1つ目としては、増税後の住宅購入のみ特例措置が適用されることが挙げられます。

令和10月1日~12月31日までの間に、居住用の不動産を購入した場合、住宅ローン減税の控除期間が13年間となり、従来の期間よりも3年間の延長措置が受けられるようです。

適用年度の11年目~13年目までの各年の控除限度額は以下の2つの条件における計算結果の小さい額の方が適用されます。

  • 借入金年末残高の1%
  • 建物購入価格の2%÷3年

消費税増税前後の購入による適用税率の違いは?

増税前後の購入による適用税率の違いにはどのような違いがあるのか、具体的には以下のようになっています。

消費税8%が適用されるケース

住宅の購入の際にかかる消費税は通常、住宅の引渡し時点の税率が適用されることになるため10月以降に引き渡される場合は、原則的に消費税は10%になります。

しかし、今回の消費税増税前に売買契約を結んでいる場合は「経過措置」が適用され、消費税8%が適用されようです。

どのような場合に「経過措置」が適用されるのか、具体的には以下のようになっています。

売買契約(購入) 引き渡し
消費税8%が適用 増税前の2019年7月に売買契約を締結 増税前の2019年9月に引き渡しを受ける
消費税8%が適用 増税前の2019年3月31日に売買契約を締結 増税後の2019年10月1日以降に引き渡しを受ける
消費税10%が適用 増税前の2019年8月に売買契約を締結 増税後の2019年10月1日以降に引き渡しを受ける
消費税10%が適用 増税後の2019年10月1日以降に売買契約を締結 増税後の2019年10月1日以降に引き渡しを受ける

すまい給付金制度とは

「すまい給付金制度」とは、住宅ローン減税を受けることができても、住宅を買うためにはまだ経済的に十分とはいえない収入層の人のために消費税率引上げによる負担を給付金の支給で賄い、住宅の購入をしやすくするための制度のことです。

住宅ローン減税と合わせて「すまい給付金」を利用することができますが、無条件に両方の恩恵を受けられるわけではなく、申請者の収入によって、受けられる給付額が変化します。

どれくらいの収入によって受けられる給付額が変化するのか、具体的には以下のようになっているようです。

消費税8%の場合

収入額の目安 給付基礎額
425万円以下 30万円
425万円~475万円以下 20万円
475万円~510万円以下 10万円

消費税10%の場合

収入額の目安 給付基礎額
450万円以下 50万円
450万円超~525万円以下 40万円
525万円~600万円以下 30万円
600万円~675万円以下 20万円
675万円~775万円以下 10万円

住宅ローン減税が適用されるための要件

住宅ローン減税が適用されるための要件については前半部分で一通り説明しましたが、それらの中身にいては詳しく説明しませんでした。

ここでは住宅ローン減税が適用されるための要件について詳しく説明していきます。

購入する住宅に本人が住む

住宅ローン減税が適用されるための要件の1つ目としては、住宅の引渡し又は工事の完了から6ヶ月以内に購入する住宅に本人が住む必要があることが挙げられます。

住宅ローン減税が住宅購入者の経済的負担を軽減することにより、住宅の購入を促進しようとする制度であり、不動産投資を促進する制度ではないため購入した住宅には本人が住まなければなりません。

床面積が50平方メートル以上ある

住宅ローン減税が適用されるための要件の2つ目としては、購入する住宅の床面積が50平方メートル以上あることが挙げられます。

床面積は、戸建住宅の場合は壁心、共同住宅の場合は内法により購入する住宅の床面積が50平方メートル以上あるかどうかで決められるようです。

築年数が一定以下もしくは耐震基準に適合している

新築住宅は、基本的に現在の建築基準法に基づき設計されており特に問題がないのですが、中古住宅の場合、築年数にもよりますが耐震基準を満たしていない可能性があり、住宅ローン減税が適用されるためには耐震基準に適合していることが必要です。

また、住宅ローン減税が適用されるためには、木造建築などの耐火建築物でない物件は、20年以内に建築されていること、RCなどの耐火建築物である物件は、25年以内に建築されていることなどの条件があります。

借入期間や年収要件を満たしている

住宅ローン減税が適用されるための要件の3つ目としては、借入期間や年収要件を満たしていることが挙げられます。

住宅ローン減税が適用されるためには借入金の返済期間が10年以上であり、また、利用者の総所得額が3000万円以下であることが必要です。

消費税増税に焦って住宅購入せず、総合的な判断を

ここまでは消費税増税の前と後、住宅を購入するタイミングについて説明してきましたがいかがでしたか。

住宅の購入の際には、消費税増税の前と後の住宅を購入するタイミングによって、適用される消費税の税率が異なってきますが、住宅の購入で本当に重要なのは、適用税率だけでなく、物件の中身をしっかりと考慮して、購入の決定を行うことです。

よって、この記事をご覧の皆さんは、上記の内容を参考にして、住宅の購入の検討に役立てると良いのではないでしょか。

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