ビットコイン(BTC)とPayPalとの比較が意味をなさない理由とは?

暗号資産(仮想通貨)であるビットコイン(BTC)を他のオンライン送金サービスと比較することは、現状ほとんど意味がありません。しかし、カナダのブロックチェーン企業であるビットアクセス(Bitaccess)は、ビットコインがクレジットカードやPayPalに対して、いかに強力なライバルであるかを力説しています。どうしてこのような意見に辿り着いたのでしょうか?

ビットコインはPayPalを超えた?

発端は、ビットアクセスが9月8日に発信したツイートにあります。その内容に示されている統計データによれば、ビットコインの取引額が、2018年には年間1.3兆ドル(約143兆円)に達し、PayPalを上回ったとしていました。

しかし、この統計はかなりの誤解を生むものです。確かにビットコインの取引額は大幅に増加していますが、それだけでビットコインとPayPalとを単純に比較して、ビットコインの優位性を力説するのは気が早いでしょう。

またPayPalも年ごとに大きな成長を遂げているものの、その点については、ツイート上の統計には反映されていません。実際、PayPalを用いた取引総額は2018年においては約5,780億ドル(約63兆5,800億円)とビットコインには及ばないものの、幅広いユーザー層がいることでしょう。

投機性と実用性と

ビットコインとPayPalの最大の違いはその用途にあります。これまでのところ、仮想通貨は極めて投機的な存在とみなされてきました。ビットコインの取引額1.3兆ドルの内、実際に商品の購入やサービス利用料として使われているるのはごくわずかで、それ以外の大部分は、資産運用や仮想通貨取引そのものに使われたものです。この点を考慮しないと、仮想通貨取引の実情を大きくゆがめたまま理解することになるでしょう。

一方PayPalは、ユーザー間で直接的にお金のやりとりを行うことのできるプラットフォームです。PayPalにおける1回の取引は、投機的な取引ではなく実用的な価値を伴ったものです。ビットコインの現在の用途とは違って、PayPalは商品に対する決済プラットフォームとして使われているのです。

ユーザーベースでの対比

そして、最大の問題点は、ユーザーベースの考え方を取り入れていないことでしょう。ビットコインは多くの仮想通貨ファンの期待とは裏腹に、未だごく少数の人々にしか使われていません。小さな集団の中で使用される通貨の一形態なのです。この状況を打破するには、これまでにも証明されてきた通りに困難で、この先数年で変わる可能性も低いでしょう。

かたやPayPalは、多くの国々に広がり続ける世界規模のサービスプロバイダーです。あらゆる場所にまで行き渡ったサービスとはまだ言えませんが、PayPalの市場規模と比較すると、ビットコインが狭小な存在に見えてしまうのもやむを得ないでしょう。単純に2つを処理総額という括りで比較するのは、今は意味がないことなのです。

しかし、ビットコインも当初は電子上の決済通貨として考案されているため、これからの技術発展によっては本当の意味でPayPalと比べ得る対象になるかもしれません。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

参考
Comparing Bitcoin to PayPal Makes no Sense
PayPal Total Payment Volume

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