イーサリアム(ETH)のネットワーク容量が急速に底打ちしている事態のナゾ

ビットコイン(BTC)に次いで時価総額2位のイーサリアム(ETH)のネットワーク容量がこの数週間にわたり、急速に失われていることが分かりました。イーサリアムが公表した数値によると、ネットワーク容量はもはや限界に近づいています。信じられない規模でネットワーク機能を制約している理由は、DAppsやスマートコントラクトではなく、テザー(USDT)であることが判明しました。

イーサリアムネットワークの利用度は100%の上限に近い

一般投資家が暗号資産(仮想通貨)の数値で気になるのは、その市場価格の成り行きか、せいぜい取引手数料がどうなるかということかもしれません。しかし、ネットワーク容量が仮想通貨の将来性を予見するのに必要な重要な一面であることを知っていますか?ネットワーク容量が限界に近づくと、その仮想通貨はあっという間に制御不可能な状態に落ち込む可能性が出てきます。

イーサリアムネットワークの利用度表を見ると、心配な状況が一目して分かります。利用度100%の上限にほぼ達しています。利用度の上昇傾向は2017年半ば以来続いています。この間、下落の兆候は何度かありましたが、上昇傾向は継続しています。

イーサリアムは表面上、デベロッパー向けプラットフォームの立場にあります。スマートコントラクトとDAppsをの開発が行われています。両アプリとも今後の発展が期待されていますが、ネットワーク利用面で余裕がなくなっているのです。17年7月以来、ネットワーク利用度はほぼ75%増えていることがその証でしょう。問題解決は容易ではありませんが、問題のそもそもの原因は、実はDAppsにはないのです。

原因はイーサリアム上でその40%が取引されているテザー(USDT)

問題の原因は、実は米ドルと連結した人気のステーブルコイであるテザー(USDT)です。テザーのほかトロン(Tron)でもUSDTの取引をしていますが、すべてのUSDTの中のざっと40%は現在、イーサリアムのチェーン上で取引されています。その状態が改善される見通しは見えていません。

イーサリアムのこの状態を救う手段があるとすれば、それは大多数のICO(イニシャル・コイン・オファリング)がどのようにして失敗に終わったかにかかっています。2017年以来、ネットワーク利用増はICOの増加によることが分かってきました。数多くのプロジェクトが、主として資金集めのためにスマートコントラクトを利用した訳です。

現在、これらプロジェクトの多くは失敗もしくは撤退寸前ですから、ネットワーク利用度は下落するのではないかと期待されましたが、事はそうやすやすと進行しません。新たなプロジェクトがほぼ毎日起案され、貴重なリソースを消費しています。これらのICOの多くが今日なお運用されていれば、その結果は目に見えています。

イーサリアム創設者のブテリン氏は想像を超える難しい問題との見解

イーサリアム創設者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は、解決法を見つけることは、これまでの想像をはるかに超える難しい問題だとの見解を示しています。ソリューションとしてスケーラビリティを解決するはずのプラズマ(Plasma)は、チャイルドチェーン(child chain)と呼ばれるレイヤー2を利用して、取扱量を増やす努力を続けています。

ブテリン氏はTwitter上でイーサリアムの現状を「オフチェーンデータL2(レイヤー2)について悲観的になっている」と説明していますが、切迫しているネットワーク容量の拡張、つまりスケーラビリティ問題は果たして近い将来解決されるのでしょうか?

イーサリアム(ETH)の価格・相場・チャート

参考
Ethereum is Quickly Running out of Network Capacity

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