
リスクヘッジの最適解は?
米中貿易摩擦や香港のデモ、サウジアラビアの製油所攻撃など、これらの出来事は、すでに肥大化しすぎた金融商品市場にプレッシャーを与えています。その結果、株式は高値を更新し、中央銀行は大幅に金利を下げて紙幣も増刷、一方では不動産市場も高騰しています。
もし日々投資を続けているなら、資産を守る手段は徐々に限られつつあります。資産に対するリスクヘッジとして最適なのは、伝統的市場と相関しない資産とされています。
他の資産と相関しないビットコインの値動き
株式や債券といった資産の価値は、GDPや収益、金利などと連動します。しかしビットコイン(BTC)だけは、連動を感じさせず、固有の動きをしているように見えます。ビットコインは「新たな金」と呼ばれていますが、他の資産、とりわけ金とはまったく相関関係が無いようです。
出典:Bitcoin Is Ideal Hedge Amidst Rising Global Uncertainty
スピアマン順位相関係数チャートを見ても、ビットコインは金、株式、米ドルとさえ相関していません。一時、金とビットコインが相関して見えた時期もありましたが、一方で株とビットコインに逆の相関関係が見えたこともありました。しかし、改めて考えるとそれも特殊な状況だったように思えます。
出典:Bitcoin Is Ideal Hedge Amidst Rising Global Uncertainty
最近の研究では、分位点回帰による分析で、ビットコインと石油との相関関係が示されています。それによれば、ビットコインは石油の価格変動に対して、リスクヘッジと分散投資の役目を果たすと結論づけられています。
これらの分析結果からすると、今のように世界情勢が危機的要素を抱えた中で、ビットコインは理想的なリスクヘッジだと考えられます。今後も米ドル、金、石油の価格は上下に変動を繰り返すでしょうが、ビットコインは強気市場を維持したまま、値上がりを続けるのではないでしょうか。
すでにリスクヘッジとして使われているビットコイン
多くの国々が不安定さを内包する中で、人々は資産を守る存在として、ビットコインに注目しています。
仮想通貨メディアCCNの取材に対して、金融情報ポータルサイトのアドバンスド・フィナンシャルネットワーク(ADVFN)と、イギリスのブロックチェーン企業オンラインブロックチェーン(Online Blockchain)を運営するクレム・チェンバース(Clem Chambers)氏は「ビットコインは新たな金であるとともに、資本逃避(キャピタルフライト)であるとも言える。これは万が一の場合に、安全な場所に移して隠すことができるからだ。現在このような目的で使える資本は多くはない。例えば金においては買うこと・確保すること・移動することのすべてが難しい」と述べています。確かに金のこの特性が、ビットコインと相関できない大きな理由でしょう。
そして、ビットコインが地政学的リスクに対するリスクヘッジになるという分析結果について、「アメリカと中国間の貿易闘争は、資本逃避への需要を浮き彫りにした。さまざまな条件からも法定通貨の下落は避けられない。富裕な中国人であっても自らの資産を、国外の銀行で国外通貨に換えて保有することはできないだろう。しかし、彼らにはビットコインという選択肢がある。これは米ドルを保有することと同価値だ。米中貿易摩擦・イラン情勢・香港の混乱などが合わさったことで、ビットコインは今年の景気回復の軸となり、需要に拍車をかけることでより活性化するだろう」とチェンバース氏は付け加えました。
混乱状態にある各国の情勢と、これまでの資産価値に上限があることを考慮すると、ビットコインが今後資産を守るベストな方法になるかもしれません。
参考
・Bitcoin Is Ideal Hedge Amidst Rising Global Uncertainty
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