
2019年9月30日、テックビューロホールディングス株式会社は、コムサ・コア(COMSA CORE)製品版の公開を発表した。COMSA COREは、異なるブロックチェーン間でトークンのペッグ制御を行い、それぞれの価値をトークンに変換し、裁量をコントロールするソフトウェアだ。COMSA CORE製品版の公開は、2018年8月6日に発表した開発ロードマップの通りに進んでいる。テスト版では、イーサリアム(Ethereum)ブロックチェーンとネム(NEM)ブロックチェーンの異なるブロックチェーン間においてトークンの変換を行った。
COMSA COREの仕組み
本来、ブロックチェーンは他のブロックチェーンと交わることはないが、COMSA COREを活用することで、ブロックチェーン間のトークン変換が可能となる。このような異なるブロックチェーンをまたいで活用するクロスチェーンの技術は、さまざまなプロジェクトが試作していた。クロスチェーン技術が発展することにより、1つのブロックチェーンという枠組みを超えたソフトウェアやサービスの構築が可能になると考えられる。
例えば、イーサリアムブロックチェーンを使って作られたアプリケーション内のアイテムをトークン化し、NEMなど他のブロックチェーン上で作られたアプリケーションのトークンに統合することも可能になる。
COMSA COREの活用により、ICOやプレセールのようなトークンセール時にビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、ゼム(XEM)など、どのブロックチェーン上で発行されたトークンでも受付が可能となる。ICOを行う企業は、独自のトークンエコノミーを構築できる。また、COMSA COREによって複数のブロックチェーンが採用されることとなるため、トークンの流動性も向上する。
ICOについては、JVCEAが2019年9月27日に「新規仮想通貨の販売に関する規則・ガイドライン」を発表しているので、新しい動きへの期待も膨らむ。
COMSA COREのユースケース
ブロックチェーンゲーム
イーサリアムブロックチェーン上で作られたゲーム内アイテムを、NEMブロックチェーン上で新しく作るゲームに組み込むことが可能となる。
投票
イーサリアムブロックチェーンで投票の機能を作らずとも、NEMのウォレットにある投票機能を統合することができる。
暗号通貨決済
BTC支払いを受け付けている店舗で、ETHやXEMなどのあらゆる通貨を決済として受け付けることができる。店舗側は顧客増加を見込むことができ、ユーザーは取引所で対応している通貨に交換する必要もない。
保険の払い出し
スマートコントラクトが被害額に応じたトークンを払い出し、ユーザーの利便性のいいトークンでの受け取りが可能となる。
証券型トークンの配当
不動産の分割所有権をトークンとして保有し、利回りを好きなウォレットで受け取ることができる。
トークンエコノミーの拡張
COMSA COREにより、ブロックチェーンの活用幅が格段に広がるのではないだろうか。1つのブロックチェーン内に留まっていたトークンは、その枠組から解放されるため、より拡張的なトークンエコノミーを作ることが可能になると考えられる。ブロックチェーンとトークンをどう活用するか、企業や開発者は再考すると面白いかもしれない。
参考
・COMSA プレスリリース
・一般社団法人日本仮想通貨交換業協会 定款・諸規則
【こんな記事も読まれています】
・ICO(イニシャル・コイン・オファリング)とは?仕組みの解説と金融庁が注目する理由
・ブロックスタック(Blockstack)のICOが米SEC初の承認受ける
・ICO発行のトークンは証券?SEC局長が公式の場で見解示す