ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社インターコンチネンタル・エクスチェンジ(ICE)が運営するバックト(Bakkt)が、現物引き渡しによるビットコイン(BTC)先物取引を開始した1週間後の取引量は、成約数が623件、総額500万ドル(約5億3,800万円)と極めて生ぬるい結果に終わりました。
特に注目されたのは、同じ1週間にビットコイン価格が大幅に下落したことで、その原因をBakktに求める声が出ています。
ビットコイン(BTC)先物の日次決済はわずか
Bakktのビットコイン先物は、投資家から予想外に冷たい反応で受け入れられました。ビットコイン先物は日次決済と月次決済の2種類ありますが、日次決済の件数がかなり悪く、思わぬ反応でした。
Bakktプラットフォームによれば、ビットコイン先物取引が始まった2019年9月22日(米国時間)から1週間、月次決済の成約は623件でした。それぞれの成約は1BTCで表されていますので、1BTCの価格が時価の8,325ドルで計算すれが、総取引額は約500万ドル超となります。一方、日次決済は6件にとどまりました。
Bakktの先物契約は、市場が始まる前からさまざまな議論を呼んできました。Bakkt先物取引開始は特に、市場に機関投資家を呼び込むと予測されていましたが、今日までそのような気配はありません。JPモルガンのアナリストは、BakktがBTC価格の大幅下落の主たる要因だと非難しました。Bakktのビットコイン先物取引開始から、BTC価格は20%以上下落して一時8,000ドルを割り込みました。
Bakktの経営陣は、ビットコイン先物は仮想通貨業界に新たな一里塚となったと、強気の発言をしています。Bakkt経営者は、BTC先物が市場における機関投資家の関心を復活させるだろうと確信しています。それならなぜ機関投資家の呼び込みに失敗したのでしょうか?
市場の評価はBakktに同情的、機関投資家の参入は今後に期待
市場データ会社コインルーツ(CoinRoutes)のデーブ・ワイズバーガー(Dave Weisberger)最高経営責任者(CEO)は、機関投資家の市場参入が失敗したと判断するのは早計だと次のようにコメントしています。
「コスト上の理由あるいは流動性の理由がなければ、人々(ここでは機関投資家)がある場所から次の場所に移動するには時間を要する。これらのことはゆっくり時間をかけて進展する傾向にある」
キプロスの仮想通貨取引所イートロ(eToro)米国のマネジングディレクターであるガイ・ヒルシュ(Guy Hirsch)氏は「様子見のアプローチとしてのためらいがあるようだ」と、以下のように語っています。
「仮想通貨はまだ比較的新しい資産クラスであり、機関投資家はなおその利点を学ぼうとしている。今回のような商品提供は、市場シェアを獲得するまでには長い時間を要することはよくあることだ」
Bakkt先物低調はBTC価格下落に貢献とJPモルガンがコメント
Bakktの先物は、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のそれとは別物です。Bakkは現物決済なのに対して、CMEの契約はBTCの受け渡しのない現金決済です。ヘッジファンドマネジャーのスリーアローズキャピタル(Three Arrows Capital)創業者のスー・ツー(Su Zhu)氏は「Bakkt契約の流動性は、初めはぽつぽつ始まり、その後洪水のようになる」と表現しています。
しかし市場には、ビットコイン価格の暴落がBakkt先物取引と直接関係しているとの強い見方もあります。JPモルガンのアナリストは「現物決済による先物契約の上場は、当初取引量が少ないとは言うものの、恐らく最近のBTC価格下落の一因になっているだろう」と分析しています。
参考
・Bakkt’s First Week Trading Volumes Hit Just $5 Million USD
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