
Facebookが主導する仮想通貨プロジェクトの「リブラ(Libra)」のローンチが後ろ倒しされることをLibra協会の幹部が発言したとブロックチェーンメディアのザ・ブロック(The Block)が報じました。
Libraのローンチが後ろ倒し、ネットワーク稼働前に暗雲
Libraのローンチは、当初予定されていた2020年頭ではなく、2020年後半から年末にリスケジュールされます。Libraは報道の通り、米議会などでさまざまな追求を受けていることや、フランスなど一部の国ではすでにブロックすることが宣告されているなどが報道されています。
Libraの現在の状況は、アメリカでは不透明、EUのほとんどの国は厳しい審査で早くも独占禁止法調査を受けている状態、インドでは禁止する方針と発表、中国は当然受け入れないというような状態です。主要先進国でLibraのローンチが正式に許されている国は一つもないともいえます。
ここからは筆者の感想にはなりますが、2020年後半から年末という新しいスケジュールを発表したものの、実際には、Libraチーム自身、確かなロードマップを描けていることは何もないでしょう。
中止とは言えないですし、今のまま影響力の小さい小規模国家のみでローンチをしても厳しい結果になることからの、渋々の延期であるとという判断のはずです。筆者としては、より早期にローンチする中国人民銀行によるデジタル通貨のほうがより関心の大きいトピックになっています。
イーサリアム上でローンチすべきだったとCoinbase元CTO
Libraは、イーサリアム(Ethereum)上で公開するべきだったという興味深い論考があります。アメリカの大手仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)元最高技術責任者(CTO)のバラジ・スリニバサン(Balaji Srinivasan)氏は以前CNBCで、Libraについて独自のブロックチェーンではなく、イーサリアムやその他のブロックチェーン上で公開するべきだったとコメントしています。
既に分散化している止められないイーサリアム、またはその他の分散されたブロックチェーン上にスマートコントラクトをデプロイをしたほうが望ましかったというものです。そのようなプロセスをとっていれば、Facebookにとって問題の全ては解決されないものの、多くのことが簡単になったはずであると発言しています。
一度スマートコントラクトをデプロイしてしまえば、参加した各企業に対して政府はペナルティを与えることはできても、ブロックチェーンをシャットダウンすることはできません。
独自ブロックチェーンであればノードを管理する100の法人の3分の1を検閲すればネットワークをシャットダウンできますが、イーサリアム上で行っていればそれは不可能でした。
Libra公式のウォレットのアクセスを政府が禁止しようとしたとしても、LibraがERC20トークンであれば容易に他のウォレットで使用できてしまいます。つまり本質的に規制がより困難になります。実際にLibraのリザーブマネーを保管するカストディをどのようにするかや、リセーラーをどのようにするかという問題は以前残りますが、ネットワークが検閲されなくなることは大きいと言えます。
リザーブマネーについても他社のUSDCなどのステーブルコインがデポジットされれば、自動的にLibra Coinを発行するコントラクトを作って、リザーブ資産のリバランスを自動で分散取引所(DEX)で行うということもありえます。これらは、「もしイーサリアム上で発行していたら」という思考実験でしかありませんが、これらを考えると、非中央集権のネットワークの強さを再考できる機会になるかもしれません。
参考
・Libra stablecoin scheduled to launch by end of 2020, says Libra Association chief
・What if Libra Was Built on Ethereum?
【こんな記事も読まれています】
・Facebookの仮想通貨「Libra(リブラ)」概要を解説!今後の懸念と可能性まとめ
・Facebookの仮想通貨リブラ(Libra)がバグ発見で100万円の報奨金プログラム開始
・Facebookのリブラ(Libra)とどう違う?バイナンスがヴィーナス(Venus)発行計画