仮想通貨は証券か否かを格付、大手取引所が独自評価開始

暗号資産(仮想通貨)業界が抱える最大のハードルは、米国内の規制問題です。米国は仮想通貨の規制に関連する法律に関しては整った国の1つではありますが、この業界が抱える当面の大きな悩みは、デジタル資産が証券か否かという問題です。規制当局はこの問題をすでに1年以上検討してきましたが、いまだに結論が出ていません。

業界トップのいくつかの仮想通貨取引所はこのほど、互いに協力してどのトークンが証券として分類されうるか独自に判定するシステムを開発しました。

仮想通貨業界が独自に個々の仮想通貨が証券か否かを判定するシステム開発

米大手取引所のコインベース(Coinbase)の発表にによると、同取引所のほかアンカレッジ(Anchorage)、ビットレックス(Bittrex)、サークルク(Circle)、DRW カンバーランド(DRW Cumberland)、ジェネシス(Genesis)、グレイスケールインベストメンツ(Grayscale Investments)、クラーケン(Kraken)の8社が創立メンバーです。8社は協力して仮想通貨評価会議(Crypto Ratings Council=CRC)が結成、米証券取引委員会(SEC)が証券として特定する可能性のある仮想通貨を分類、格付しました。

この新しい格付システムは、結果次第では取引の登録手続きをする取引所にとっては大いに助けになりますが、いくつかの仮想通貨にとっては良いニュースにはならないかもしれません。

証券の特質を備える個々の仮想通貨を1-5に格付

CRCは個々の仮想通貨が証券か否かを示す基準を1から5で分類するオンライン格付表を作成しました。その理由は、SECが決定を先送りしている見解の不一致とあいまいな態度に起因しています。

CRCは大部分の仮想通貨の格付けをオペレーター、デベロッパー、そして一般
の参考に供します。格付は強制力がなく、SECの関与もありません。CRCによると、「この格付けは法的な結論を反映したものではなく、資産の定性的価値あるいは投資もしくはほかの何らか目的に対する適合性を表す数値でもない」としています。

XRPの評価は4で証券と格付される可能性が高い

当初評価によると、ビットコイン(BTC)は格付1の評価となります。格付1の意味は、証券として考えることが「可能性が極めて低い(非現実的)」ということです。格付1はこのほか、ライトコイン(Litecoin/LTC)、ダイ(Dai/DAI)、モネロ(Monero/XMR)です。

逆に証券として最も可能性のある(考えられる)仮想通貨は、メイカー(Maker/MKR)とポリマス(Polymath/POLY)が4.5と最も5に近く、話題のリップル(XRP)は4で、CRC評価法でも証券にかなり近く、SECが証券として位置づける可能性もかなり高くなります。

ほぼ中間に位置する仮想通貨は、例えばイオス(EOS)、ステラ―(Stellar/XLM)、テゾス(Tezos/XTZ)、オーガー(Augur/REP)が3.75と比較的高く、イーサリアム(Ethereum/ETH)は比較的低い2と格付されています。

SECのクレイトン委員長が証券と分類されるトークンはIPOと同じ扱い強調

SECは1年前から、リップル(XRP)が証券に近いことを繰り返し公言し、大きな論議になりました。ジェイ・クレイトン(Jay Clayton)委員長は「ICOあるいは株式を保有し、私募による売却を望むなら、私募に関するルールに従ってもらう。トークンの売買によるIPO(新規公開株)を発行したいなら、当委員会と相談してほしい」と強調しています。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート
リップル(XRP)の価格・相場・チャート

参考
Top US Exchanges Collaborate to Determine Which Cryptos Are Considered Securities
Introducing the Crypto Rating Council

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