- 2019年の10大テーマに”仮想通貨市場の成熟”をピックアップ
- 戦略コンサルティングファームであるA.T.カーニーは、2019年の未来予測ロードマップとして10大テーマを取り上げ、その一つに”仮想通貨市場の成熟”をピックアップした。
- 2019年末にはビットコインのシェアが2/3を占める
- 同社は、ビットコインが誕生から10年の節目を迎え、次の10年は「post-crash(崩壊後)」フェーズとして市場の成熟、強化の方向へ進んでいくとした。さらに、市場の成熟に当たってビットコインの存在がより強固なものとなり、2019年末には市場シェアが2/3を占めることになるだろうと予想した。
2019年の10大テーマに”仮想通貨市場の成熟”をピックアップ
戦略コンサルティングファームであるA.T.カーニーは、2019年の未来予測ロードマップを公表し、エグゼクティブサマリーとして10項目のキーポイントを示した。
上記の10項目の中には、米中の貿易戦争や新興国の通貨危機など2019年に起こりうる世界的なイベントをピックアップしているが、その中の一つにビットコイン・仮想通貨に関するテーマを挙げ、
Bitcoin will lead the consolidation and maturation of the cryptocurrency market
(ビットコインの存在が仮想通貨市場を成熟させ、盤石な基盤を築くことをリードするだろう)
という題目を提示した。
ビジネスの最前線で様々な企業や国の戦略を描く役割を担うコンサルティングファームは、多方面にわたる社会課題や解決策を見つけ出すことに注力しており、時代のトレンドを追うことに長けているプロフェッショナル集団である。
ビジネスの専門家である戦略コンサルティングファームが、2019年の10大テーマの一つとして”仮想通貨市場の成熟”を取り上げた意義は大きい。彼らが仮想通貨の成熟に期待を寄せていることは、すなわちビジネスの潮流として仮想通貨やブロックチェーンへの注目が集まっていることを意味するためだ。
2019年末にはビットコインのシェアが2/3を占める
2018年10月にはビットコインが誕生から10年の節目を迎えたが、市場参加者の中では仮想通貨の長期的な未来に関する懸念が渦巻いていた。
2017年は仮想通貨が全体的に活気付いた年であり、ビットコインは1年間で1375%の価格上昇を遂げた。しかし、アルトコインはビットコインの勢いを凌いで急速にマーケットを拡大し、下図にあるように仮想通貨市場全体に占めるビットコインの割合は減少を続けた。
その後の2018年1月、市場はバブルがはじけたように崩壊の一途をたどった。崩壊の要因には相次いだハッキングや高騰するトランザクション手数料、規制強化などが考えられる。しかし、一番大きな要因は2017年に投機マネーが多く投じられ、そのバブルが弾けたことによるところが大きいだろう。
このバブル崩壊後、仮想通貨市場は落ち込み悲壮感が漂う1年間を過ごした。しかし、A.T.カーニーのコンサルタントは自社のレポートで”市場は2019年以降に次の10年間として「post-crash(崩壊後)」フェーズに入り、成熟、強化の方向へ進んでいく”と記述している。また、それをリードするのはやはりビットコインであり、市場におけるビットコインのプレゼンスは再び上昇するだろうと予測している。
同社は、2019年の終わりにはビットコインが仮想通貨全体の時価総額のうちおよそ2/3を占めることとなり、多くのアルトコインが衰退の一途をたどると予想している。また、アルトコインへの投資リスクが投資家の中で増大していることを指摘した。
2019年の規制当局の動向は
続いて同社は、今後多くの金融規制当局が仮想通貨に対する厳しいスタンスを次第に緩和させていくだろうと予想している。その一例として、イギリスやアメリカの2019年の動向について以下のように言及した。
イギリスでは、自国を仮想通貨市場の中心地にするべく、財務省委員会が主体となって不正・犯罪を抑制し価格の変動性を減らす規制を整備することを追求している。
同時に、米国の証券取引委員会(SEC)はビットコインETFをいずれ承認し、商品先物取引委員会(CFTC)と共に市場の透明性を改善するため尽力していくだろう。
最後に同社のレポートでは、仮想通貨の市場発展のためには”従来の金融システムを受け入れるほかない”と締めくくられた。
皮肉ではあるが、仮想通貨が次の20周年を迎えるには、ビットコインがかつて対決を挑んだ従来の金融システムを受け入れることが唯一の解決策である。アメリカで結成されたBlockchain Associationは2019年、仮想通貨のイメージを改善するためにアメリカの政策立案者へロビー活動を積極的に行っていくことだろう。