中国PBoCの動き

中国の中央銀行「中国人民銀行(PBoC)」は14日、中国の3大金融地域で大口現金取引に制限を試験的に実施する政策を発表した。官報新華網が伝えた。

実施期間は今後2年間で、河北省・浙江省・深セン市で実施する。規制対象になるのは、法人口座による50万元(約800万円)以上の送金額。個人口座においては、10万元から30万元(約150万〜500万円)と制限額が地域によって異なる。

PBoCはこの制限を用いて、違法・不正に当たる大口の現金取引に対策を講じることが目的。大口資金が流れる不動産業・自動車販売業・医療業界等を制限対象に指定している。

この制限政策を発表したPBoCは、「キャッシュレスツールの使用を推薦する」と国民に向けて伝えた。中国はすでにAlipayとWeChat Payが大部分で普及しているため、当政策は市民の一般生活に影響は及ばないことが予想できる。

デジタル人民元との関係性

この政策について、SNSに投稿した中国情勢通のDovey Wan氏は、PBoCが発行を検討している「デジタル人民元」に向けた前準備ではないかと指摘した。

上述した不法送金を目的とした政策について、「中国はすでにマネロンなどの金融の取り締まりは得意な領域であるため、銀行の取り付け騒動(バンク・ラン)に備えるための動きだと考えらえる」と述べた。その上で、資産の完全なるコントロールがPBoCの本意と指摘、デジタル人民元の発行準備に向けた動きと捉えられることができると述べた。

PBoCは昨日、「デジタル人民元はまだリサーチとテストを行なっている段階にある」と状況を明確にしたばかりであるが、このような大規模な金融政策を始めるにはさまざまなステップを踏まえる必要があるため、今回の送金制限もその一環である可能性は十分にあるだろう。

参考:xinhuanet

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