DeFi(分散型金融)が向かう次のステージとは?Maker財団CEOによる論考

金融機能のモジュール化でアプリケーションを構築することを実現したDeFi

開発者カンファレンスDevcon5ではMaker財団(Maker Foundation)のルーン・クリステンセン(Rune Christensen)経営責任者(CEO)がDeFi(分散型金融)が次にどのようなステージに向かうか?というテーマのプレゼンテーションを行いました。

DeFiがブロックチェーン業界においてパスワード化してしばらくが経ちます。イーサリアム(Ethereum)上で第三者が介入しないアセットの交換やレンディング、レバレッジ取引、CFDなどの取引が既に可能になっています。

さらにこれらはメイカーダオ(MakerDAO)、ゼロエックス(0x)、コンパウンド(Compound)など、金融のさまざまな機能がモジュール化されており、それらを使用してサードパーティーがアプリケーションを構築することができるようになっています。

インスタダップ(InstaDapp)などがその好例で、MakerDAOやCompoundなどのプロトコルをモジュールとして使用して、ユーザーが使いやすいインターフェイスを提供しています。

クリステンセン氏はこれをDeFiを構成するレイヤー2であると表現しています。さらに法定通貨をブリッジするワイア(Wyre)などがレイヤー3です。DeFiはここ数年間でプロトコルを充実させ、金融機能のモジュール化でアプリケーションを構築することを実現したと言えます。これらについてさらに詳しくは下記で解説しています。

参考:今の時点で見えるDeFi(分散型金融)の実態と、将来予想

現実世界のアセットをトークン化してDeFiのエコシステムに乗せる

現実世界の株式や債券などのアッセットをトークン化したものはセキュリティトークン(Security Token)と呼ばれます。これの先に起きることは、現実世界のアセットがトークン化することによって、それらがDeFiで使用されているさまざまなプロトコルに適合できるようになることです。

例えばERC20互換でセキュリティトークンを定義すれば、0xで構築したノンカストディの取引所でアセットを取引することが可能です。Compoundもユニスワップ(Uniswap)も適合可能です。

DeFiはどのように規制に対応をするか

暗号通貨はここ数年でさまざまな規制に適応しようとしています。DeFiにおいてはまだ規制の具体的な議論は活発ではありませんが、今後どのようになると予想されるでしょうか。

規制産業になっていてもビットコインやイーサリアムはプロトコルとして認められ、規制当局はそれらに触れず、取引所を規制しています。DeFIにおいても同じようなことが起こることが予想されます。

例としてプロトコルのCompundはプロトコルとして分散すれば規制は困難です。Compoundはまだコアチームが集権的にアップデートするレンディングプロトコルですが、本質はイーサリアム上のスマートコントラクトコードでしかなく、それを分散的にアップデートする手法・ガバナンスが提案されれば検閲が困難なプロトコルになりえます。

つまり、規制当局がビットコインやイーサリアムを取り扱うことと同じような立ち位置になりえます。しかしながらそのプロトコルを使用する中央集権ステーブルコインのUSDCなどは規制されながら広まっていくべきでしょう。

現実世界のなにかしらの資産にミラーリングをしたSytnthetic Asset

シンセティック・アセット(Synthetic Asset)は現実世界の資産にミラーリングして価格が推移するブロックチェーン上のアセットです。このトピックは、現実世界の資産をトークン化するセキュリティトークンとは異なります。

MakerDAOのCDPコントラクトから発行されるステーブルコインのDAIもその代表事例です。DAIはUSドルと価格が連動していますが、USドルそれ自体は裏付けされていません。ETHなどの暗号通貨が裏付けされており、USドルの価格をミラーリングして表現しているに過ぎません。同様の仕組みで今後はS&P 500や現実世界の株式などをブロックチェーン上に表現できるようになるでしょう。

これらが今後数年でDeFiのエコシステムで起こることです。加えてイーサリアムがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)への移行によってキャパシティを拡張をする時期が約2年後であり、DeFiのエコシステムの成長時間軸はこれらから予想できるはずです。

参考
What’s Next for DeFi?

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