
業界を超えた革新的なイノベーションの実現を目指す、オープンソースのブロックチェーンコミュニティであるハイパーレジャー(Hyperledger)は、そのエンタープライズ向けコンソーシアムに新たな企業が参画することを発表した。テレフォニカ(Telefónica)、テック・マヒンドラ(Tech Mahindra)、ETCコーポラティブ(ETC Cooperative)を含めた8つの企業が参加し、リナックス・ファウンデーション(Linux Foundation)でホストされているマルチベンチャー、マルチステークホルダーのプロジェクトに多様性を持たせる効果が期待されている。
Hyperledgerのエグゼクティブディレクターであるブライアン・ベーレンドルフ(Brian Behlendorf)氏は、今回の新メンバー追加によって生まれるシナジーについて、「ハイパーレジャー・アヴァロン(Hyperledger Avalon)の導入によって、15のプロジェクトを立てるというマイルストーンを達成しました。これにより、プロジェクト全体での開発と牽引力が高まっています。また、企業での開発速度と効率を高めるために、Hyperledger認定サービスプロバイダープログラムを開始しました。今回の参画により、コミュニティには深みと多様性が更に追加され、エンタープライズブロックチェーンテクノロジーを促進させる取り組みに勢いを与えることでしょう」と述べている。
スペインの大手通信会社Telefónica
今回新しくHyperledgerのビジネスコンソーシアムに参加した企業の一つであるTelefónicaはスペインの大手通信会社だ。同社は、個人が「検証済み」の個人情報を販売することを可能とする分散型マーケットプレイスであるウィブソン(Wibson)への投資を行うなどブロックチェーンに関する事業へ積極的な関わりを見せている。また、2018年にはソフトバンクなど各国企業が共同設立した、通信事業特化のブロックチェーン・プラットフォーム開発を目的とするキャリア・ブロックチェーン・スタディ・グループ(CBSG)にも参加している。
ICT業界のサービスプロパイダーTech Mahindara
Tech Mahindaraはインドを拠点とする、ICT業界のサービスプロバイダーである。現在は25以上のブロックチェーンプラットフォームの開発を手掛けており、直近2019年9月2日に、金融管理ソリューションの効率化のため、米国の分散台帳技術開発企業であるアドジョイン(Adjoin)と提携を行っている。その他にもインド国内3億人以上のモバイル加入者に悪影響を及ぼすスパムコール問題の解決に向け、受信設定の保存や共有にブロックチェーン技術を活用している。
Tech Mahindraは今回の参画について、「最先端のソリューションによって、あらゆる企業のビジネス上における問題を解決することで、Hyperledgerテクノロジーが将来設計されていく上での役割を果たしたいと考えています」と述べた。
Hyperledgerの役割
Hyperledgerはオープンソースに分散台帳フレームワークとコードを企業に提供することで、金融、産業、認証機関などさまざまな業種を一つに繋ぐプラットフォームとして運用が期待されている。また、政府機関は無料でHyperledgerのメンバーとしてコンソーシアムに参加できるようで、官民一体となったスピーディーな意思決定と事業展開の促進が期待される。
参考
・Hyperledger Announces Eight New Members, Host of Project Updates
・Hyperledger Adds Eight New Members – Rolls out Updates
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