イーサリアム上の分散金融、通称DeFiの新たなステージとなるMaker DAOのMCD(DAI)は、日本時間12月3日をもってエコシステムの大半が移行を完了。これに伴い、SAIからDAIへの移行率は43.51%まで大きく上昇しており、SAI保有者はエマージェンシーシャットダウンのリスクが高まっている。
ETH速報:SAIからMCD(DAI)への移行はエコシステムの大半が移行したことにより43.51%まで増加。これによりエマージェンシーシャットダウンによるヘアカットリスクが増加しているため、各 #SAI ホルダーは早めに #MCD 移行手続きを行うことを推奨します。#イーサリアム #仮想通貨 #DeFi #Makerdao pic.twitter.com/P3geOqC8Qu
— 墨汁うまい(Bokujyuumai) (@bokujyuumai) December 2, 2019
DeFiエコシステムのDAIへの移行
Compoundや各DEXなどのイーサリアム上のコントラクト、Bitfinexなどの仮想通貨取引所は12月3日までにETHのみを担保としたシングルコラテラルDAIのSAIから、ERC20トークンにも対応したマルチコラテラルDAI(MCD)への移行を表明。
12月3日の深夜にレバレッジDEXや仮想通貨取引所がDAIへの移行完了を発表し、DeFiのエコシステムの9割以上が新たなMaker DAOのコントラクトへ移行したことになる。主要仮想通貨取引所ではBittrexがまだ未対応となっているが、今流行のレバレッジDEXなども既に対応しており、SAIの上場廃止はプロジェクトによるため下記対応表通りとなっている。
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SAI保有者はMCD移行を推奨
Maker DAOの新たにローンチしたマルチコラテラルDAIでは、SAIが攻撃を受けドルのペッグを保てないとき、イーサリアム上でのオンチェーンガバナンスによってSAIを停止するエマージェンシーシャットダウンというプロトコルが実装されている。
SAIからMCDへの移行は自主的に行われており、移行目安期間などは設けられていない。だが、SAIへの攻撃があった場合にはエマージェンシーシャットダウンが起動されることで、Makerエコシステムを守るために新たなDAIの発行などが停止され自動的にMCDへと移行されることになる。
このとき、SAI発行者には比較的リスクは低くCDPをクローズするだけとなるが、SAI保有者はヘアカットリスクがあるため、余裕を持ったMCDへの移行が必要となる。
MCD(DAI)移行率
12月3日現在のDAI移行率は43.52%となっており、DeFiエコシステムのMCD移行に伴い50%まで迫っている。この移行率は11月末から移行が加速しており、約1週間で約DAIの供給量が4倍にもなっており、エマージェンシーシャットダウンの可能性が上昇してきているといえる。
CompoundでのDAIのレンディング金利は一時10%を記録し、現在はDSRの2%より高い2.95%を維持しておりMCDの需要が見られる。エコシステムの移行完了に伴い、SAIからDAIへの移行はより加速していくことになるだろう。