環境問題に挑むICCがブロックチェーン技術のカーボンクレジット事業開始へ

世界最大級の企業団体である国際商業会議所(ICC)は、国連気候変動会議(COP 25)に合わせて環境問題に対処するため、イーサリアム(Ethereum)に基づくテクノロジーを利用して、世界のすべての航空機から排出されている二酸化炭素(CO2)を規制するカーボンクレジット取引ネットワークを開始します。実現すれば、ブロックチェーン技術の世界的アプリケーションを試す大事業となります。

イーサリアムベースのAirCarbon(エアカーボン)社と提携

ICCは、カーボンクレジットの取引や配分をしているシンガポールの商品取引所であるAirCarbon(エアカーボン)社と提携して、世界のCO2排出量の2.5%を占める航空業界に対するカーボンクレジット・ネットワークを立ち上げます。イーサリアムベースのこの取引所は、カーボンクレジット認可証を発行して、それぞれの航空会社がCO2排出量を自己規制することによって気象変動を遅らせることを任務とします。

国際航空運送協会(IATA)は2019年6月、国際民間航空のためのカーボン・オフセット(相殺)・削減スキーム(CORSIA)の導入を各国政府に求める決議案を採択しました。政府間国際機関の国際民間航空機関(ICAO)はすでに16年、CORSIAの導入を決定済みです。ICCは今回、世界初のブロックチェーンベースのカーボンクレジット・ネットワークを創設して、CORSAに準じたAirCarbon Exchangeを航空業界全体で採用することになった訳です。

各航空会社は割り当てられた排出量を超える場合に他社からクレジット購入

割り当てられたCO2排出量をどうしても超える排出をしなくてはならない特定の航空会社は、決められた排出量に達しないだろう同業他社からクレジットを購入することができます。カーボン排出に伴う財務費用を付加することによって、このクレジットシステムは航空会社にカーボン排出量を減らすよう奨励します。

米国の非営利団体である生物多様性センター(CBD)は「商業航空のカーボン排出量を国に例えるならば、ドイツに次いで第7位に位置づけられる」との報告書を出しています。航空会社が排出するCO2量がいかに大きいかを警告したリポートであり、2050年までにその排出量は現在の3倍となり、2016年から50年の間に43ギガトンという膨大なCO2 を排出すると計算しています。その量は排出される全割当量の4%を占めることになります。

カーボン取引所は期初の危機的状況に対応する歴史的提携関係

ICCとAirCarbonは、マレーシアのブロックチェーン企業パーリン(Perlin)とも提携して、AirCarbonのカーボン取引プラットフォームのカスタム化を図り、世界的な採用に向けて努力します。

発表によるとカーボン取引所は、気象が危機的状況に達する前に、業界主導のイニシアチブで対応するための歴史的な提携関係であると強調しています。その背景にある状況は「国際航空運送協会(IATA)による(2037年までの旅客数は倍増するという)商業航空トラフィック予測に基づくと、2050年までに世界の気温上昇をセ氏1.5度に抑えるためのカーボン排出割当量は、航空業界だけでその4分の1を消費することになる」と述べています。

創設されるカーボン取引所の目的は「パートナー(航空会社)は、航空機からく排出される大量のカーボンの脅威に直接対応して、航空業界による信頼できるカーボン排出オフセットのための有効かつ経済的な調達・取引に供する」と定義しています。

イーサリアム(ETH)の価格・相場・チャート

参考
World’s Largest Business Organization Announces Partnership With Ethereum-Based Platform to Combat Carbon Emissions
HOW AIRPLANE CARBON POLLUTION JEOPARDIZES GLOBAL CLIMATE GOALS

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