第二章の講義です。
第一章ではトレーダーの根本的な考え方を学びました。
その中でテクニカル指標や形を意識するのではなく投資家の心理を考えてトレードするべきという話をしましたが、そのトレーダー心理を考える上で必ずテクニカル指標や形は知らなければいけないものだという話は何度もしてきました。
今回は9割のトレーダーが考えているであろうテクニカル分析で意識すべき5つの形を学んでいこうと思います。
<トレンド内での推移をしている時の形>
- トレンドライン
- チャネルライン
- 三角持ち合い
<トレンド転換時に現れる指標>
- ダブルトップ/ダブルボトム
- ヘッドアンドショルダー(三尊・逆三尊)
本当はもっとたくさん形は存在しますが全部紹介してもキリがないですし、コインオタクもそこまで多くの形を意識しているわけでもなく最低限の形を知っておけば十分かと思いますで、これらにとどめておこうかと思います。
【第一項】トレンド
まずは形を学ぶ前に大前提としてトレンドというものを把握しておきましょう。
トレンドとは価格の上昇、下落の傾向のことです。テクニカル分析をする上でまずは今のトレンドを大局的かつ局所的に把握することが重要です。これを知って初めてテクニカル分析を始められるといってもよいでしょう。
全てのチャートパターンは大きく分けて
上昇トレンド
下降トレンド
レンジ相場
の3つに分けられます。
チャートには以上の3つのチャートのいずれかの中で推移していきます。
上昇トレンド
上昇トレンドとは安値と高値を切り上げながら推移を続けていくことです。
下記の画像のような状態のことです。
下降トレンド
下降トレンドは上昇トレンドの逆で高値と安値を切り下げながら推移することです。
下記の画像の状態のことです。
レンジ相場
レンジ相場とは上昇トレンドでも下降トレンドでもなくどちらでもない状態のことです。
下記の画像のような状態のことです。
では、以下のチャートは上のいずれかでしょうか?
上昇トレンドと多くの人が思ったことでしょう。
しかし赤の四角の部分だけ見ればここは下降トレンドですよね。
以上のように相場は上昇トレンドの中にも下降トレンドがあったり、見る時間軸によって違うトレンドが出ていることも多いです。
最初に述べたように大局的にも局所的にも相場のトレンドを把握することが重要です。
今回でしたら大局的には上昇トレンドですが局所的には下降トレンドなので、赤の四角の最初の部分でエントリーするならショートで底をロングで拾っていくのが正解と言えます。
【第二項】トレンド内で推移している時の形
いよいよ本格的にテクニカルの話をしていきます。ここでは第一項で書いたトレンドの中での推移をする場合に出てくるテクニカルの形を紹介します。
- トレンドライン
- チャネルライン
- 三角持ち合い
の3つを解説していこうと思います。
トレンドライン
チャートの極大値や極小値を結ぶと一直線に並ぶことがありそれをトレンドラインといいます。
トレンドラインでは反発が起こることが多いですが、反発せずに抜けた場合には大きな価格変動が起こることが多いです。
安値を支えるものをサポートライン、高値を押さえつけるものをレジスタンスラインと言います。
多くの場合は大きな値動きはこのトレンドラインのブレイクによって起こります。
長期に渡るトレンドラインほど、また、反発回数が多いほどブレイクしたときの価格変動が大きいです。
チャート分析の基本はこのようにトレンドラインを引いてどんなトレンドがあるかを見ておくことです。
今回のこのトレンドラインは高値を抑えているのでレジスタンスラインですね!
また、トレンドラインはブレイクした後にサポートラインとレジスタンスラインの役目が転換することが多いです。
記事内ではよくレジサポ転換などと書いていますね。
チャネルライン
トレンドラインに平行に引く線のことで下記画像のようにラインを少しブレイクする展開になった時に意識される場合が多い線です。
下記画像ではレジスタンスラインが見当たらないので、高値を通るようにチャネルラインを引いています。
三角持ち合い
サポートラインとレジスタンスラインの間で価格が推移して、三角形を形成しているものを三角持ち合いといいます。
基本的にはトレンドが継続している時の形はこの三角持ち合いを基本としてその派生系であることが多いです。
この三角持ち合いが出た場合にはどこかでサポートライン、レジスタンスラインのどちらかを絶対にブレイクするので今後のトレンドの方向性を決める指標になりやすいです。
基本的には上向きの三角持ち合いは上に抜けやすく、下向きの三角持ち合いは下に抜けやすいです。
この三角持ち合いの派生形も紹介していきます。
アセンディングトライアングル
レジスタンスラインが一直線の三角持ち合いのことです。
徐々にサポートラインが切り上がっていくことからも買い圧が強くなっていて売り圧が耐えられず上にいく展開が多いです。
ディセンディングトライアングル
アセンディングトライアングルの逆です。
サポートラインが一直線の三角持ち合いのことです。
徐々にレジスタンスラインが切り下がっていくことからも売り圧が強くなっていて、買い圧が耐えられず下に割る展開が多いです。
【第三項】トレンド転換時に現れる形
次にトレンド転換時に現れる形を紹介します。
ここでは
- ダブルトップ/ダブルボトム
- ヘッドアンドショルダー(三尊・逆三尊)
の2つとその派生形をを紹介していきます。
ダブルトップ/ダブルボトム
ダブルトップ
上昇トレンドから下降トレンドへの転換を示す形です。
高値の切り上げが止まり安値の切り下げが始まるとダブルトップの完成です。
2つの高値の間の安値のラインをネックラインと呼んで、このネックラインを割ったタイミングでトレンド転換といえます。
これはトレンド転換時に現れる形全てに共通して言える特徴です。
実際のチャートでの例
ダブルボトム
下降トレンドから上昇トレンドへの転換を示す形です。
安値の切り下げが終わり高値の切り上げが始まるとダブルボトムの完成です。
実際のチャートの例
ヘッドアンドショルダー(三尊/逆三尊)
ダブルトップやダブルボトムよりも強いトレンド転換の形です。
山を3つ作ることからも三尊や、下向きのヘッドアンドショルダーを逆三尊、と呼んだりします。
時間軸で見た時に時間が前の山を左肩、後の山を右肩と呼びます。
三尊
逆三尊
ヘッドアンドショルダー時の出来高は左肩よりも右肩のほうが出来高が減少する傾向にあります。
そもそもトレンドと逆行する方向に動いているときは出来高が小さくなる傾向があります。
実際のチャートの例(逆三尊)
ヘッドアンドショルダーの派生形~トリプルトップ・トリプルボトム~
ヘッドアンドショルダーの頭と肩の高さがほぼ一緒のもののことです。
下記の例では三尊のようなチャートですが高さがほぼ揃っていて青のラインで一直線になっています。この場合をトリプルトップといいます。
この逆で逆三尊の頭と肩の高さがほぼ一緒のものをトリプルボトムといいます。
番外編:その他の形
この他にもトレンドの継続、反転する形は多く存在しますが全部紹介してもキリがないのでここでは相場分析記事などでよく使うものを形だけ簡単に説明します。
まとめ
今回はトレーダーの多くが意識しているテクニカルの形を紹介しました。
ここまで読んでこの形が出たら買い、売りをすればいいと思っている方は
テクニカルの形は確かに重要ですがこれだけを意識してトレードをしても必ず負けてしまいます。
なぜなら「否定」や「ダマシ抜け」がありうるからです。
例えば底値付近で逆三尊が出たからといって必ずしもネックラインを超えてトレンド転換となるわけではありません。
逆にネックラインで反発したり、ちょっとだけラインを超えてすぐに大きく下落することも多々あります。
この「否定」や「だまし抜け」はなぜ起こるのでしょうか。大口投資家の心理を考えましょう。
もし底値で逆三尊が形成された場合にはネックラインを超えて上昇と思う人が多いはずです。
そこでネックラインを超える、もしくは超えそうな時は損切りラインを下に設定した上でロングエントリーする人が多いはずです。
しかし、ここで価格が下に動いた場合はどうなるでしょうか。
多くの人がロングエントリーしていることからも価格が下に動いた場合には損切り(つまり売りの注文が入る)の連鎖で一気に価格が下落していく可能性が高いです。
つまり、大口投資家は少し下方向に動かすエントリーをすれば一気に価格を落として自分たちが利益を得ることができます。
もちろんこれは理論の話で実際にはその時々で状況が異なり一概にそうとは言えませんが
だからこそ、他の参加者や今までのチャートから投資家心理を考え、逆三尊を形成するか、否定するかを考えてトレードすることが大事になってくるのです。