暗号資産(仮想通貨)はこれまでもゲームやバーチャル資産の取引に適していると考えられてきましたが、このような用途への需要が加速しています。直近の7日間のうちに主要なゲームにおける取引額を合算すると、100万ドル(約1億1,000万円)以上になったことが記録されました。
仮想通貨とゲームの相性
ブロックチェーンはゲームの分野において、多様な使い方があることが知られており、ゲームユーザーも仮想通貨の強力なサポーターの役割を果たしています。現在、仮想通貨市場が回復傾向にあることと、ゲーム分野での仮想通貨需要の増加に関連性があるとも考えられます。
直近の7日間において、主要なゲーム上で多額の投資が行われました。ブロックチェーンベースのVRゲームであるディセントラランド(Decentraland)ではユーザーがバーチャル不動産への投資に走ったことから、取引額が60万ドル(約6,600万円)以上になりました。また、サンドボックス(Sandbox)やクリプトボクセル(Cryptovoxels)などの他のゲームでも多額の投資が行われており、主要ゲームの合計取引額は(約1億1,000万円)以上に達しています。
出典:Nonfungible
その他にも、ゲーム分野に仮想通貨が組み込まれる動きがあります。2020年2月初旬には、マインクラフト(Minecraft)を活用したサトシクエスト(SatoshiQuest)がリリースされました。このゲーム内では、参加者はビットコイン(BTC)の宝探しに興じることができ、賞金は集められた参加費の中から支払われます。
その多くは非公式であるものの、仮想通貨はバーチャルの中で、ゲーム内アイテムの売買に使われています。またゲーム開発者も、仮想通貨での購入を可能とするオプションを開発を早急に進めている状況です。
ゲームが広げる仮想通貨の可能性
ゲーム業界では長年にわたって、従来の取引インフラが自分たちの製品に適していないと主張してきました。例えば、クレジットカードやデビットカードを使用したときに発生する手数料が、少額商品の購入を阻害してしまうことなどです。また仮想通貨のボーダーレスな性質は、しばしば特定の通貨に関わる問題を引き起こします。一部の開発者が解決策として、ブロックチェーンそのものに目を向け始めたことも、自然な流れだと言えるでしょう。
2019年10月には、仮想通貨ナノ(Nano)の決済システムを3Dゲームエンジンであるアンリアルエンジン4(Unreal Engine4)に組み込めるプラグインがリリースされました。その結果、このプラグインを利用して開発されたゲームでは少額の決済が可能となりました。他にも、マイクロペイメントを実現するために、ビットコイン(BTC)のライトニングネットワークの機能を活用したゲーム開発を行っているコミュニティもあります。
しかし、仮想通貨とゲームの統合は課税や規制に関する問題も生み出しています。アメリカ合衆国歳入庁(IRS)は、ゲーム内トークンを含む取引報告の義務に関する要件を削除しましたが、ビットコインなどのブロックチェーンベースの取引については、まだ報告を義務づけています。また、ゲーム内での仮想通貨使用は、賭博に関する法律に抵触する恐れがあるほか、顧客確認(KYC)規制に反する可能性もあります。批評家の中には、ビデオゲームがマネーロンダリングに使われたり、法的制裁を避けるために悪用されたりすることに警告を発する人もいます。
仮想通貨の普及においてゲームが果たす役割は非常に大きく、現在も多くの取り組みが進行中です。一方では新たな課題も生まれており、今後はそうした課題にも向き合う必要があるでしょう。
参考
・CRYPTO GAMERS SPENT $1 MILLION ON VIRTUAL LAND THIS WEEK
・Nonfungible
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