2020年2月に新しいイーサリアム(Ethereum)ウォレットの「Authereum」が公開されました。
より簡単にDAppsの利用が可能に?
この新しいイーサリアムウォレットは、メタマスク(Meamask)以上に分散型アプリケーション(DApps)やイーサリアムのアプリケーションの利用を簡単にします。現在、分散型金融(DeFi)やDAppsなどのアプリケーションを利用する際、ユーザーが使用しているウォレットはMetamaskであることが一般的です。
アプリケーション側は、イーサリアムブロックチェーン上のデータを扱えるようにしたライブラリであるWeb3jsを利用して、ユーザーのMetamaskと連携して、トランザクションやコントラクトとのやり取りを行います。これらは現在イーサリアムのユーザーが使用しているツールとしては市民権を得ましたが、多くの人にとってはまだ難しいでしょう。
秘密鍵を保存すること自体は勿論、Metamaskはクロムエクステンションですが、ブラウザ拡張をすること自体が一般の人にとって難しいと考えたほうが良いでしょう。これに対して新しくリリースされたAuthereumは、より利用しやすいツールになっています。
IDとパスワードでDAppsにログインできる
Authereumでは、IDとパスワードでDAppsにログインができるようになっています。ユーザーは確かに秘密鍵を保持しており、資産やユーザー情報をアプリ事業者に渡さなくても良いものの、それでありながらユーザーは秘密鍵の存在を意識しないツールとなっています。具体的にはIDとパスワードでDAppsにログインできるようになっています。
Authereumでは、普段使いなれたWebサービスのように、IDとパスワードを設定します。このIDとパスワードの値に乱数を組み合わせてコントラクトウォレットを作成するという形式をとっています。これによって、普通のウェブサービスとほとんど同じように、ユーザーはDAppsを利用できます。また、他にもユーザーがイーサリアムのアプリケーションを簡単に利用をするためのさまざまな仕組みがなされています。
通常、イーサリアムのトランザクションの手数料支払はETHで行いますが、Authereumでは、ステーブルコインのDAIで支払いができるようになっています。これによってユーザーはトランザクション手数料がどれだけ負担になっているか、常に法定通貨建てで分かるようになります。この仕組みはメタトランザクションによって実現しています。
さらにウォレット内でデビットカードでDAIとETHを購入できるようになっており、取引所を経由せずとも、このウォレットさえあればDAppsを利用できるように設計されています。
Authereumは2020年2月に、コインベース・ベンチャーズ(Coinbase Ventures)やシナプス・キャピタル(Synapse Capital)などから110万ドル(約1億2,000万円)の資金調達を発表しました。まだローンチされたばかりなので、対応しているアプリケーションは少ないですが、今後拡大が期待されるウォレットです。
筆者としても、このウォレットを試してDAppsのユーザーエクスペリエンスが格段に向上することが実現できたため、是非本コラム読者には試してもらいたいウォレットです。
【こんな記事も読まれています】
・ブロックチェーン・ウォレットなどの採用は急速に進む、ドイツ銀行がレポート発表
・SIMカードがウォレットのように機能するTelx、買うべき?使用シーンは?
・暗号通貨をはじめて持つ人に最適化されたウォレット「Astro」が登場、その特徴とは?
d10n Labのリサーチコミュニティでは、ブロックチェーン業界の動向解説から、更に深いビジネス分析、技術解説、その他多くの考察やレポート配信を月に20本以上の頻度で行なっています。コミュニティでは議論も行えるようにしており、ブロックチェーン領域に積極的な大企業・スタートアップ、個人の多くに利用頂いています。
▼d10n lab 未来を思考するための離合集散的コミュニティ
https://d10nlab.com