
シンガポールが、2019年にブロックチェーン・暗号資産領域で存在感を出す可能性が高くなっています。元々、金融セクターを強みとして半世紀で大きく成長をしたこの小国が、暗号資産領域で国家としてのポジションを築くことをみすみす見逃すことがないことは容易に想像がつきます。
Binance(バイナンス)のシンガポール進出
存在感を出す可能性について、まずシンガポールのブロックチェーン業界のエコシステムにとって今後、影響力が大きいのはBinance(バイナンス)の進出です。
同国の政府系投資会社Temasek Holdings(テマセク・ホールディングス)の子会社であるVertex Ventures(バーテックス・ベンチャーズ)は、バイナンスへの戦略的投資を2018年10月に実行をしています。
これはシンガポール政府からのお墨付きをもらっているということと同義で、この投資の発表と同時にバイナンスはシンガポールで法定通貨建ての取引所を開設する旨を発表しています。
バイナンスは、1月にシンガポールで同社初の大規模なカンファレンスイベントを開催します。同社は最近、ハッカソンなどを活発に開催したり、ブロックチェーンスタートアップへの出資と買収を多くなっていることでも知られています。
バイナンスのシンガポール拠点の開設に合わせ、多くのスタートアップがシンガポールに集まる可能性はあるでしょう。
シンガポールの魅力
金融立国
シンガポールは、元々金融立国なので潜在的な投資家や富裕層が多いです。
当然、機関投資家も多く存在しており、バイナンスが狙っている市場でしょう。
既にブロックチェーン領域のプロジェクトが多く存在する
ブロックチェーンプロジェクトもアジアでは最も多いです。Ethereumのコミュニティも最も活発なのはシンガポールでしょう。DigixDAO(ディジックスダオ)、TenX(テンエックス)などはシンガポール発のプロジェクトです。
規制の方向性が明確化しつつある
シンガポールは暗号資産の取扱に関する一旦の法案がまとまり、規制の方向性明確化しつつあります。これに関しては、コインチョイスの下記コラムが詳しいです。
参照:シンガポール金融管理局が仮想通貨を含む決済サービスの新たな規制枠組みを発表
中国系プロジェクトが新規拠点をシンガポールに移動する傾向
中国系プロジェクトが新規拠点をシンガポールに移動する傾向が確認されています。
というのも、中国国内は事業によっては規制の締め付けが大きいことや、中国国外のマーケットを取りにいきたいといった中国国内の影響力が既に大きい事業者が、同じく中華系の国であるシンガポールに拠点を設立する傾向が強まっています。
例えば、Houbi(フォビ)の共同創業者が設立をしたNode Capital(ノードキャピタル)や、中国で最もユーザー数が多いウォレットであるimToken(アイムトークン)が新規拠点を中国に設立しています。
以上の理由から、2019年以降にシンガポールがアジアの中で存在感が高まる可能性が高いと筆者は考えています。
日本からも比較的に物理的距離が近い同国は、ビジネスプレーヤーは関わりも増えるでしょう。
今後の同国のブロックチェーンエコシステムには注目しています。
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